2016年に米空軍が公開したB21の完成予想イラスト RUTERS

<アメリカの最新鋭ステルス爆撃機B21には「遠く及ばない」との見解を示した>

中国が開発中のステルス爆撃機の性能は、アメリカの最新鋭ステルス爆撃機B21「レイダー」には遠く及ばない――米国防総省のある当局者がこう語った。

【動画】カリフォルニアで試験飛行中のB21の映像

この当局者は4月22日に、匿名を条件とした記者団との対話の中で、「中国初の戦略ステルス爆撃機H20のシステム設計を見ると、とくに「見えなさ(可観測性)」という点でアメリカのステルス爆撃機、とりわけ今後導入予定の最新鋭のステルス爆撃機には遠く及ばない」と述べた。

ステルス技術を搭載し、核兵器および通常兵器の両方を搭載可能なH20は、太平洋におけるパワーバランスを変える可能性がある。中国人民解放軍空軍の王偉副司令官は3月に、H20は「近いうちに」公開されると述べていた。

だが前述の米国防総省当局者は、H20の性能が期待されているほどのものかどうかは疑わしいとの見方を示す。「中国は自分たちが偉大な軍事大国であることを示したいというだけの理由から、H20を公開している可能性がある。H20の公開は必ずしも、彼らが必要とする種類の能力または数量を実際に確保したことを意味しない」

この当局者は、中国はアメリカのB21や旧型機のB2「スピリット」と同等のシステムを開発しようとしているものの「工学設計の面で多くの困難に直面」していることが分かっていると主張。だが中国が直面しているより大きな課題は、これらのシステムを「迅速かつ大規模に」運用できる有能な人材の不足■補足■だと述べた。

「ほぼ確実」な米中衝突への備えか

中国政府は2016年にH20(アナリストの間では「轟」の異名で呼ばれている)の開発に着手したことを発表して以降、その詳細を一切明らかにしてこなかった。

H20は最大積載量が45トンとされており、これはアメリカが保有するB2の20トン、B52「ストラトフォートレス」の35トンを上回る。航続距離は、グアム駐留米軍に脅威をもたらす約8500キロメートルから、ハワイも視野に入る約1万2000キロメートルと推定されている。

中国政府は、アジア太平洋地域で米軍と力を均衡させることができる「世界一流の」軍の設立を目指す習近平国家主席の計画に沿って着実に、人民解放軍の近代化を推し進めている。この軍備増強を受けて、アメリカは日本やフィリピン、オーストラリアをはじめとする地域の同盟諸国との安全保障協力を強化しており、これら同盟諸国は防衛能力の強化への投資を増やしている。

米軍の指導部は、中国との戦争は回避可能だと強調しているが、前述の米国防総省当局者は22日、習近平と中国共産党は米中の衝突について、アメリカ側が仕掛けてくる形で「ほぼ確実に」起こると考えていると述べた。

本誌はこの件について中国外務省に書面でコメントを求めたが、返答はなかった。

米大手国防企業ノースロップ・グラマンが開発した、核兵器を搭載可能のB21は深部攻撃向けに設計されており、電子戦能力が強化され、また敵のレーダーに映りにくい次世代ステルス技術が使用されている。

軍事情報誌「ディフェンス・ニュース」は、これまでに(または現在)6機のB21が製造されており、米空軍は従来のB1およびB2爆撃機の代替機として少なくとも100機を購入する計画だと報じた。

2023年11月には、B21が米カリフォルニア州パルムデール上空で初の試験飛行を行った際の映像が浮上した。

【動画】B21試験飛行の模様(2023年11月)

B-21 RAIDER FIRST FLIGHT 11-10-23 #RAIDER33 #B21Raider pic.twitter.com/3tEKudqDiw

— Matt Hartman (@ShorealoneFilms) November 10, 2023

B-21 RAIDER FIRST FLIGHT 11-10-23 #RAIDER33 #B21Raider pic.twitter.com/3tEKudqDiw

— Matt Hartman (@ShorealoneFilms) November 10, 2023

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