今年3月のシンガポール公演 ASHOK KUMARーTAS24/GETTY IMAGES FOR TAS RIGHTS MANAGEMENT
<プライベートジェット多用で大量のCO2排出し、「セレブ界最大のCO2汚染者」と不名誉な称号も。 調査で判明した環境への高負荷に「エコじゃない」とブーイング続出>
開催中の世界ツアーで次々と記録を塗り替えている米歌手のテイラー・スウィフト。だが排出する二酸化炭素(CO2)の量も破格なようだ。
昨年、34歳のスウィフトは約2年かけ世界で151公演を行う「エラズ・ツアー」に乗り出した。
これまでのツアーの利益だけで推定1億9000万ドルの税引き後収入を得て、今年4月にはフォーブス誌発表の資産10億ドル以上の富豪「ビリオネア」のリストに初めて名を連ねた。同誌によるとスウィフトは作曲と演奏だけでビリオネアになった初の人物なのだという。
称賛の一方、批判にさらされているのがスウィフトの「プライベートジェット使いすぎ問題」だ。ツアーでの移動やアメフト選手の恋人、トラビス・ケルシーとの逢瀬(おうせ)にジェット機を多用し、温室効果ガスをまき散らしている。
米調査会社グリーンリーは今回のツアーによる彼女の移動が排出するCO2の量を調査。
所有する2機のうち主に使われていた機体、ダッソー社のファルコン900XLを公開情報で追跡すると、アメリカ国内だけで約5万9631キロを航行していた。飛行時間は約113時間に上り、CO2に換算すると77.5トンの温室効果ガスが発生していることになる。
南米ツアーでの旅程も合わせると排出量は計139トンに及ぶという。
また、スウィフトは今年2月、アメフトの年間王者を決めるスーパーボウルでの恋人の活躍を観戦するため推定3万500キロを移動。
一方、アジアとオーストラリア公演のため太平洋を2往復した分や、今夏以降の北米・ヨーロッパ公演の分は、調査に含まれていない。
スウィフトのプライベートジェット利用が批判されるのは、その移動の多くが不必要とみられているからだ。
例えばスウィフトは南米リオデジャネイロ公演が開催間近だった昨年11月、同じく南米のブエノスアイレスにいったん飛び、そこから自宅のあるニューヨークに戻ったのを目撃されている。昨春の米ツアーではライブの開催地とニューヨークを公演の合間に頻繁に行き来していた。
米空港に降り立ったスウィフトの自家用ジェット機 BACKGRID/AFLO史上最高益ツアーの責任
彼女へのこの種の非難は初めてではない。セレブの自家用機利用を追うSNSアカウントの投稿を引用した調査は、スティーブン・スピルバーグなどと共にスウィフトを「セレブ界最大のCO2汚染者」と糾弾したことがある。気候変動の活動家たちもスウィフトのプライベートジェット多用を何度も批判してきた。
上記のアカウントを開設したジャック・スウィーニーは、スウィフト専用のX(旧ツイッター)アカウントを設けて彼女の自家用機での移動を常に追跡。それによると、彼女の昨年12月25日から1月30日までの移動で77.8342トンのCO2が発生したという。
スウィフトの広報担当者はツアー開始前にAP通信に対し「ツアーでの移動距離全てを相殺するのに必要な量の2倍以上のカーボンクレジットを購入した」と語っているが、それ以上の詳細は明らかにしていない。
年末に終了予定のツアーは既に史上最高収益の音楽ツアーとしてギネス認定されている。それだけの大事業なら、社会的責任も当然重い。
テイラー・スウィフトのプライベートジェット経路
Taylor Swift emitted around 1,200 tons of CO2 in 2023 on her private jet trips.
— BowTiedMara (@BowTiedMara) April 29, 2024
She participated in a campaign to ban plastic straws, while her flights are equivalent to the production of 100 million straws.pic.twitter.com/m7VwCFdbQs
テイラー・スウィフト「エラズ・ツアー」
Taylor Swift | The Eras Tour (Taylor's Version) | Official Trailer | Disney+鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。