ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は19日、ブリュッセルで開かれた欧州連合(EU)首脳会議に出席し、ロシアとの停戦交渉開始に向けた対応などを協議した。ゼレンスキー氏は停戦交渉の前提として、停戦後の安全保障の確保が重要との認識を示し、北大西洋条約機構(NATO)への加盟や、欧州各国軍のウクライナ駐留などを呼びかけた。
ゼレンスキー氏は首脳会議後の記者会見で、停戦が実現しても、ロシアが再侵攻する可能性が残ることに懸念を示し「私たちはただの停戦ではなく、安定した平和を望む。最も良い安全保障はNATO加盟だ」と述べた。
そのうえで、フランスのマクロン大統領が提案する外国軍が平和維持のために駐留する案を「NATO加盟までの代替策の一つとして支持する」と語った。
ただ、駐留案の具体策については各国と協議中で、「何も決定していない」と説明した。ゼレンスキー氏はX(ツイッター)でも、外国軍駐留案について支持を表明し「他のパートナー国にも取り組みへの参加を呼びかける」と投稿した。
ウクライナはこれまでNATOへの早期加盟を再三求めてきたが、NATOはウクライナの加盟を「不可逆的な道」と述べるにとどめている。また米国のトランプ次期大統領が、ウクライナのNATO加盟を「支持しない」と発言したとの報道もある。
こうした状況からゼレンスキー氏は停戦後の安全保障については「米国と欧州の両方と議論する必要がある」との認識を示し「トランプ氏が味方につき、戦争終結を支援することを望む」と語った。
欧州ではトランプ氏とロシアのプーチン大統領の主導で停戦交渉が進み、ウクライナや欧州に不利な条件が提示されることへの懸念が拡大している。
ショルツ独首相は記者団に「ウクライナや欧州の頭越しの決定は許されない」と語った。【ブリュッセル宮川裕章】
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