米ブルームバーグ通信は10日、バイデン米大統領が日本製鉄によるUSスチール買収を国家安全保障上の懸念を理由に正式に阻止する計画だと報じた。買収計画に問題がないか審査している対米外国投資委員会(CFIUS)が12月下旬までに審査を終え、それに基づき阻止を決定するという。
ブルームバーグによると、少なくともCFIUSのメンバーの1人が買収にリスクがあるとみている。12月23日ごろが審査期限で、CFIUSの報告を受けバイデン氏が決定する。買収阻止が発表された場合、日鉄とUSスチールは審査プロセスを巡って訴訟を起こす構えという。
報道を受け、ニューヨーク市場でUSスチールの株価は急落し、前日比9・6%安で取引を終えた。
買収計画には全米鉄鋼労働組合(USW)が強く反対している。大統領選で労組票の取り込みを狙ったバイデン氏は、USWの意向を尊重し一貫して買収に慎重な姿勢を示していた。
買収を巡っては、トランプ次期大統領も「大統領として、この取引を阻止する」と、12月上旬に自らが運営するソーシャルメディアに投稿している。トランプ政権は2025年1月20日に発足する。【ワシントン大久保渉】
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