医療機器メーカー「ゼオンメディカル」(東京都千代田区)が2018~22年度、医療機関や大学、医師に対し、自社製品の販売を促進する目的で現金計約1億2千万円を提供していた。業界団体「医療機器業公正取引協議会」(公取協)の調査でわかった。自社製品の操作感などを答えてもらう「市販後調査」の謝礼名目などだったが、調査に実態はなかったという。

 ゼオン社を巡っては昨年9~10月、国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)の元医長=収賄罪で起訴=に、実態のない市販後調査の対価として計約320万円を贈ったとして贈賄容疑で元社長が警視庁に逮捕され、その後起訴された。

 事件を受けた公取協の調査では、ゼオン社は18~22年度、39の医療機関に計約3700万円、3大学に計約100万円、医師37人に計約8100万円を提供していた。このうち10医療機関は公立病院などで、2大学は国立大、医師5人は公的病院に勤める「みなし公務員」だった。

 民間病院の医師への資金提供は贈収賄に当たらないが、景品表示法に抵触する可能性がある。公取協は26日、ゼオン社を厳重警告の処分とした。

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