薬害の歴史を教訓として伝えるため、厚生労働省は23日、資料館の創設に向けて取り組みを強化する考えを示した。厚労省と協議を続けてきた全国薬害被害者団体連絡協議会(薬被連)がこの日、会見で明らかにした。
薬害エイズの被害者で、薬被連の代表世話人を務める花井十伍(じゅうご)さんは「薬害根絶デー」のこの日、「薬害研究資料館の創設」を盛り込んだ要望書を武見敬三厚労相に手渡した。薬被連によると、厚労省との協議で、担当者から「国が主体となり、スピード感を持って資料館の実現に向けて取り組みたい」という趣旨の発言があったという。
薬害をめぐっては、体系的に学べる場がないことが課題となってきた。薬害肝炎の検証と再発防止に向けた厚労省の検討委員会は2010年、「薬害研究資料館の設立」を提言。20年には、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に展示室を設けたが、資料館の設立には至っていない。
花井さんらは昨年、法人を設立し、資料の収集や保管を担ってきた。国も今年度から補助金を出し、活動を支えている。花井さんは会見で、「資料館創設に向けてやっていこうという合意ができた。来年度から正式にスタートしていきたい」と話した。(藤谷和広)
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