兵庫県立がんセンター(明石市)で、がんの疑いを示す検査の結果を見過ごす医療過誤があったと、県が25日発表した。80代の男性患者はその後、肺腺がんとリンパ節への転移が判明し、薬物療法をしているという。

 県病院局によると、男性は2022年12月、膵臓(すいぞう)内などに液体のかたまりができる「膵(すい)囊胞(のうほう)」の年1回の定期検査のため、センターでMRI検査を受けた。読影医が左肺にがんの疑いがある影を見つけ、検査結果に所見を記載した。

 しかし、男性の担当医だった消化器内科の医師が、この所見を見落とした。翌23年12月の定期検査で左肺の同じ場所の影が大きくなっていることが判明。担当医が22年の所見の見落としに気づいた。今年1月のCT検査で、ステージ3の肺腺がんとリンパ節への転移が見つかったという。

 県は患者と家族に説明のうえ謝罪した。現在は病院内の別部門が重要な所見の対応状況を確認する対応策をとっている。杉村和朗・県病院事業管理者は「大変申し訳ない。再発防止に努める」とコメントした。(島脇健史)

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