元日に石川県の能登半島であった地震の発生直後から、能登地方の被災地に関心を持ち、取材を続ける高校生たちが長崎県にいる。県立長崎南高新聞部は、被害の状況や被災者の言葉を校内外に伝えてきた。2年の早野ゆみ部長(16)は「能登半島地震は人ごとではすまされないと実感している。これからも取材を続けたい」と話す。(谷口大河)

能登半島地震の被害を伝える壁新聞を制作した長崎県立長崎南高の新聞部員ら=1月、同校で(部提供)

◆石川県にゆかりある部顧問の勧めでスタート

 長崎南高新聞部は、生徒や教職員向けの速報・号外を月1~3回、約770部を発行。卒業生らにも配る長崎南高新聞も年2回、約1800部を発行するなどしている。  初めて地震を報じたのは1月7日。顧問の安井秀隆教諭(59)の勧めで、新聞各紙などを参考に被害をまとめた壁新聞を掲示し、「被災者支援について考えてみませんか?」と呼びかけた。  安井教諭は金沢大の卒業生で、ゆかりのある石川の地震の被害を生徒に知ってほしかったという。「能登半島と同じように、長崎県でも高齢化や人口減少が深刻。土砂災害や集落の孤立化なども起きやすく、決して人ごとではない」と強調する。

◆現地訪問や電話取材で「復興する姿を届けたい」

店内に掲示した長崎県立長崎南高校新聞部の新聞を見つめる八木久さん=石川県珠洲市のいろは書店で

 1月は号外を2回作り、避難所の状況や受験生の不安、長崎市で開かれた復興支援の北陸物産展の様子を伝えた。2月末の新聞では地震の被害や石川県珠洲市ゆかりの漫画家高松美咲さんの「スキップとローファー」などを特集し、3月には吹奏楽部と共同で同県への義援金を募った。  5月末の速報では地震で店が全壊し、仮店舗で営業を再開していた珠洲市の「いろは書店」を紹介。店の被害や再開を決めた経緯を電話取材し、記事にした。  いろは書店では、その速報を店内に飾った。「被災地でいち早く営業再開」「復興に向けて灯りをともす」といった見出しが目を引く紙面に、店主の八木久さん(83)は「長崎から取材があるとは思わなかった。若い人の行動に感心している。本当にありがたい」とほほ笑んだ。  8月には部員4人が石川県を訪れ、輪島市の朝市通りを歩いた。羽咋市では羽咋高校の生徒と一緒に被災者の話も聞いた。10月末の新聞で報告する準備を進めている。今後の取材について2年生の川浪華歩(かほ)さん(17)は「能登が復興する姿を見届けたいし、キリコ祭りなどの文化も新聞で伝えたい」と意欲を見せた。 

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