「動機」を争点に検察側と弁護側 主張は真っ向対立

妻を殺害した罪に問われている長野県塩尻市の元県議会議員・丸山大輔被告(50)の裁判員裁判は「動機」に焦点を当てた審理が始まっています。

長野県塩尻市の元県議丸山大輔被告(50)は、2021年9月29日、自宅を兼ねた酒蔵の事務所で、妻の希美さん(当時47)を殺害した罪に問われ、裁判で無罪を訴えています。


裁判の最大の争点は丸山被告が犯人であるかどうかの犯人性です。
(1)「被告人の所在・移動の状況」
(2)「動機」
(3)「現場の状況・痕跡」
(4)「事件前後の被告人の言動」
4つのテーマにポイントを絞り、審理が行われています。

争点「動機」について検察側・弁護側の主張は?

裁判は10月24日から2つめのテーマである犯行の「動機」についての審理が始まり、冒頭陳述では、検察側と弁護側の主張は真っ向から対立しました。

▽検察側の主張:不倫関係にあった女性との交際、結婚したい・妻の実家への借金▽弁護側の主張:妻を殺害する動機はない

検察側の主張

検察は丸山被告が不倫関係にあった、元交際相手の女性と結婚を強く望んでいたと指摘。


また、酒蔵の経営不振で妻の実家から少なくとも約4000万円の借金があったほか、選挙資金の援助を受けていたとしています。

妻の父親は人脈を使って選挙での票集めに尽力していたこともあり、丸山被告は酒蔵の経営や県議の地位を妻の家族の援助に依存していたと指摘しました。


丸山被告は初当選した2015年ごろ女性と知り合い、不倫関係となりましたが、翌年の2016年には妻に女性との不倫を知られます。

その後、丸山被告は妻の父親からは不倫相手を選んで妻と離婚するなら、議員をやめるように迫られたといいます。

2019年に女性との不倫関係が終わったものの、被告は、その後も女性との交際や結婚を諦められなかったと検察側は主張を展開。

妻と離婚をすれば、借金の返済を求められたり、選挙の援助を受けられなくなったりする恐れがあり離婚ができない。妻の存在が邪魔となったことから、事件に巻き込まれたかのように装って殺害するしかないと考えたと主張しました。

弁護側の主張は

弁護側は丸山被告の不倫が発覚し、関係が悪化したのは事件から5年も前のことで、その後は特段トラブルはないなどと主張。

妻は、会社の経理を任され、後援会活動や家庭を切り盛りし、常に夫をたてて経営や議員活動を支え、事件直前もごく普通のメッセージのやり取りをしていた。

妻を殺害しても実家からの借金の返済は免れるものではなく、現に、事件後に返済を始めていることなどから、丸山被告に妻を殺害する動機はないと主張しました。

不倫関係にあった元交際相手の日記が法廷で…

不倫関係にあった女性が法廷で証言

証人尋問には女性が出廷しました。

2015年ごろから2019年までのおよそ4年間、丸山被告との不倫関係が続いていて、2016年には妻に浮気が知られましたが、以降も関係は続いていたといいます。

検察側は不倫相手の女性の日記を証拠として公開しました。

2018年1月から不倫関係が解消された2019年年末ごろまでの女性の心情や丸山被告の言動などが記されていて、検察官が一部を抜粋して朗読しました。

女性の日記

▽2018年10月
『子ども欲しい…「いいよ」と大輔さん』『無理なのに、でもうれしい』

▽2019年4月
『けじめつけて。(丸山被告に)一方的に伝える、2人の方向性を決めず、寝てしまった』

▽2019年5月
『いろんな問題があって1年、2年かかると言われた、方法がない、あきらめついた』

その後、旅行へ行くなど、交際が続いていた2人。丸山被告は弁護士を通じて妻との離婚を進めていることを女性に伝えていたものの、けじめをつけない態度が続いたことから、女性から別れを伝えて、関係は終わったと言います。

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