2024年のノーベル平和賞が発表され、日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会が選ばれました。被団協は2024年で結成68年を迎え、核兵器廃絶に向けた運動を長年リードし、被爆の実相を世界に伝えてきた取り組みが評価されたという事です。

ノーベル平和賞に日本の個人や団体が選ばれたのは1974年の佐藤栄作元総理以来50年ぶりです。長年、活動してきた、日本被団協の事務局次長の和田征子さんに、その思いを聞きました。

(聞き手・荻上チキ、南部広美)

初めの頃は国連で話をしても聞いてもらえなかった 

――ノーベル平和賞の受賞が決まったという事ですが、どのように感じていますか?

和田:

嬉しいです。本当にもう、先人たちが頑張って活動してきたもので、(それが)本当に実を結んだ。非人道兵器が、使われてはならないという事で、自分たちと同じような経験をさせたくないとずっと思ってやってきた。それがやっと皆さんに…もっと世界に広く言う事ができるかと思います。

――改めて被団協のこれまでの活動内容を教えてください。

和田:

とにかく私達は核兵器が二度と使われてはいけない事を、とにかく世界に伝えたい。核兵器廃絶、絶対使ってはいけないという事、そして、その事をみんなが共有するという事です。なかなか認めてもらえなかった事から、「核兵器の問題って何?」という事から始まって、今まで68年頑張ってきた。初めの頃は国連で話をしても聞いてもらえなかった。「やっと!」という感じがいたします。

私達の働き・言葉によるものが抑止力になった

――今も各地で戦争や核の脅威が語られていますが、このタイミングでの受賞の意味についてはどうお感じになりますか。

和田:

それこそ大きな抑止力になると思いますね。「核兵器が抑止力になる」と私たちは一度も思った事は無いです。核抑止力で平和ができるという事、安全が保障されるという事は思ってもいませんし、望んでもいません。

これが言葉で、行動で、今までやってきた事の証になると思います。だから、核による力というのは、単なる暴力にしかならない。言葉によって、対話によって、共感してもらって皆さんと一緒に活動ができたと思っております。

今までの先人たちの働きに深く深く感謝したいと思います。もう平均年齢が80歳以上になっています。この間、私達は全国の代表理事会をやりましたけれども、その中でも、どうやったら伝わるか、継続するにはどうするか、被団協を継続するならどうするかという事をずっと話し合ってきました。

――今も後ろで電話が鳴り止まないですね。

和田:

有難い事に皆さん電話をかけて下さってます。何回も、これまで空騒ぎしてきたんですよね。だから今年は、期待していなかったというのもおかしいですけど、(受賞は)思いもしませんでした。今だから(ノーベル)委員会も考えて下さったのでしょう。

皆さんに(核兵器は)抑止力として使ってはならないもの、このリスクが高まっている時に、被団協がやってきた運動というものを、もう一度皆さんに認識していただく事だと思います。

――核兵器禁止条約に、日本の参加が叶っていない状況ですけれども、今後、運動はどのように展開していこうとお考えでしょうか?

和田:

これからも、もっと運動を強めていきたいと思います。強めて、日本政府にも迫りたい。政府だけではなくて、地元自治体からも話を上げてもらいたいという事です。意見書を政府に自治体として上げてもらいたいという事も私達の運動の一つです。私達ひとり一人が出かけていって、皆さんにお伝えする、共感していただく、知っていただくという事が一番です。

本当にガザやウクライナ、色んな所でひどい事が起こっております。そういう所で、核を使われたら、もっともっと…ですよという事も申し上げたいと思います。私達の働き・言葉によるものが抑止力になったという事を皆さんに知っていただきたい。対話をしていただきたいという事が一番です。

(荻上チキ・ Session 2024年10月11日の放送より)

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<聞き手>

荻上チキ:

評論家。メディア論を中心に、政治経済、社会問題、文化現象まで幅広く論じる。NPO法人「ストップいじめ!ナビ」代表、「社会調査支援機構チキラボ」所長。著書『ウェブ炎上』『いじめを生む教室』『みらいめがね』など。

南部広美:
フリーアナウンサー。日本短波放送で株式市況、経済ニュースを担当後、J-WAVE ニュース室勤務 アナウンサーとして7年間勤務。 J-WAVE “ Jam the world”、“Tokyo コンシェルジュ”、“みうらじゅん安西肇の GOLDEN TIME”NHK BS “こだわりライフヨーロッパ”ほか、CMナレーションなど多数。

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