いま札幌市は水素を活用した「まちづくり」を進めています。2030年には、こんなスタイリッシュな乗り物が街中を走っているかもしれません。
貴田岡結衣記者
「午前3時半です。札幌中心部の交差点を長い車体が慎重に角を曲がっています」
10月5日未明の札幌中心部です。
走っていたのは、2つの車両をつないだ、全長約18メートルの「連節バス」。
2030年の本格運行に向けた、走行試験が行われました。
札幌市は、中心部の利便性向上とにぎわいの創出を目的に、新たな交通手段として、環境に優しい水素で走る「連節バス」の導入を目指しています。
さらに、2024年度中には、市内に大型の水素ステーションも完成予定。
水素社会の実現へ。変わる札幌の未来を、もうひとホリします。
札幌市が構想する「連節バス」。
運行する路線には、JR札幌駅の東側に建設される新幹線の改札口、再開発が進む「JR苗穂駅周辺」、路面電車が走る「大通・ススキノ地区」などのルートを検討しています。
今回の走行試験は、福岡市で実際に運行しているディーゼルエンジンの「連節バス」が使われました。
札幌市では過去に運行実績がないため、この日は交通量が少ない明け方に、交差点で問題なく曲がれるかなど、安全性を確認しました。
貴田岡結衣記者
「このバス、現在は福岡で使われているということですが、なんと言っても広い。定員は130人ほどとなっています」
この先、運転手不足が懸念される中、「連節バス」は輸送力の高さが強みです。
さらに環境にも配慮し、導入する「連節バス」は、国産ハイブリッド車を水素燃料電池で動くように改良する予定です。
札幌市まちづくり政策局・和田康広公共交通担当部長
「札幌市は水素社会の実現を進めています。走行時や停留所を想定した停車時、右折、左折時、いずれも運行の支障はないと判断しました」
さらに札幌市で整備が進められているのが…。
馬場佑里香記者
「中央体育館の跡地には、道内で初めて、大型燃料電池自動車にも対応する水素ステーションが建設されています」
2024年度中の完成を目指して、現在、中央体育館の跡地に水素ステーションを建設しています。
導入予定の「連節バス」にも、水素を供給することができます。
また、完成時期は未定ですが、隣には飲食店などの商業テナントが入る集客交流施設も整備される予定で、施設内の電力や冷暖房の一部を水素燃料電池でまかなう計画です。
札幌市まちづくり政策局・和田康広公共交通担当部長
「水素社会の実現に向けた環境が、徐々に整備されている。こうした中で公共交通が環境に配慮する役割が大きくなっていると思う。われわれの取り組みが水素の利活用をけん引するような象徴的なプロジェクトになることを期待して取り組みを進めている」
札幌市は今後、雪道での走行試験などを行い、2030年の導入を目指すということです。
導入する車両は3タイプあり、大型の「連節バス」は定期路線を運行するほか、中型と小型の「AIデマンドバス」は、利用者の事前予約に応じてAIが最適な運行ルートを決めて市内中心部を走る予定です。
いずれも燃料は水素で、札幌市は製造時にも二酸化炭素が排出されない「グリーン水素」の使用を検討しているということです。
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