ことしは、猛暑の影響で様々な食材が高くなっていますが、秋の味覚にも影響が出ています。愛知県有数の梨の産地、安城市の農園を取材しました。
オリジナル品種の「愛甘水」や「甘ひびき」が人気の梨農園。今は「豊月」の出荷の真っ最中ですが…
(甘水園 猪飼幸宏さん)「(豊月は)去年10割採れていたとすると、虫の影響でことしは5割くらいまで収穫量が減った」
その虫というのが「シンクイムシ」。
(猪飼さん)「外で卵を産んで、幼虫になった時点で梨の中に入って、出てきて蛾になる」
(大石)「『シンクイムシ』が、高温の影響で増えている?」
(猪飼さん)「年々増えている気がする」
深さ1メートルほどの穴に梨を廃棄
さらに…
(猪飼さん)「畑の隅に穴を掘って、梨を廃棄しています」
(大石)「山積になっていますが…」
(猪飼さん)「下に1メートルくらい掘っています。これは一部なので…かなりの量を捨てています」
出荷できなかった梨の山があちこちに。猪飼さんは廃棄した梨は「1トン近くあるのでは」と話します。暑さの影響は「豊月」以外の品種にも…
(猪飼さん)「『新高』。高温障害で腐ってしまった」
9月下旬に収穫を始める品種『新高』。虫や汚れから守るため袋をかけて育てますが…
(猪飼さん)「袋の中も40℃近くになっていると思うので、袋の中にある梨も90%は水分だから腐っていく」
高温障害の梨は…「少し洋酒っぽい」
『新高』も全体の5割近くを廃棄。出来が良かった梨と比べてみると、一目瞭然。
(大石)「断面の色も全く違うし、手の感触も違う」
では、高温障害の梨を食べてみると…
(大石)「まずシャキシャキ感がないのと、少し洋酒っぽい…」
農園全体の被害額は200万円以上。
「品種構成を変えていかないと…」
近所の農家でも…
(大石)「高温障害の影響はあった?」
(近くの梨農家)「『新高』は特に煮えてしまい、半分以上は捨てた。袋がけして手間をかけたのに、袋代もまかなえない…」
JAの担当者も、危機感をあらわに。
(大石)「(安城市の)梨の生産量は、どれだけ減った?」
(JAあいち中央 営農部 磯村朗課長)「農協の出荷数量は去年より3割くらい減っている。農家自体も対策としていろいろやっているが、ことしの温度には対処できなかった」
猛暑対策は、この先々も重要な課題。甘水園の猪飼さんは。
(猪飼さん)「7月下旬~8月中旬ぐらいまでに採れるような品種構成に変えていかないと(梨農園は)続けていけないんじゃないかと思う」
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