いわゆる「菊池事件」の再審請求を巡り、法学者に対する証人尋問が熊本地裁で行われました。

菊池事件は1952年、ハンセン病患者とされた男性が役場職員を殺害したとして死刑判決を受け、10年後に執行されたものです。

しかし裁判は隔離先の特別法廷で事実上非公開で開かれたため、熊本地裁が2020年に「憲法違反」との判断を下しました。

これを受けて男性の遺族が再審を請求し、今回の証人尋問も遺族側が求めていました。

今回の裁判は、裁判所が「特別法廷は憲法違反」と認めたことで、再審をすべきかどうかが争点の一つです。

刑事訴訟法では再審請求ができる場合について、「無罪を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見したとき」と定めていますが、憲法との関連については、明確な規定がありません。

そのため遺族側と検察側の見解が対立しています。

遺族側は「そもそも死刑を執行された男性は犯人ではなく、憲法違反の形で開いた裁判であるので再審を開くべき」と訴えています。

一方で検察側は「犯人である事実が変わらない以上、刑事訴訟法の再審事由にあたらず、裁判自体の違憲性についても刑訴法に規定されていない」と主張しています。

証人尋問は非公開で行われ、刑事法が専門の内田博文・九州大学名誉教授は「憲法違反が著しく、すぐに再審を開始すべきだ」との見解を示しました。

一方で検察側は、証人尋問で内田名誉教授に対する反対尋問は行わなかったということです。

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