9月の記録的な豪雨で安否がわからなくなっている輪島市の中学3年生、喜三翼音(きそ・はのん)さん。9月30日、福井県沖で女性の遺体が見つかり、身に着けていた衣服が喜三さんのものであると、父親が確認しました。福井海上保安署は遺体が喜三さんとみて身元の確認を急いでいます。

9月21日、記録的な豪雨による川の氾濫で住宅4棟が流された輪島市久手川町では、これまでに男女2人が亡くなっていますが、1日新たに前川政二(まえかわ・まさじ)さん(80)の死亡が確認されました。

喜三さんの行方は分からない状態が続いていて、連日にわたって大規模な捜索が行われる中、9月30日の午後4時すぎ、輪島市からおよそ170キロ離れた福井県の沖合で、漂流している1人の遺体が見つかりました。

遺体は身長およそ150センチの女性で、半袖半ズボンのジャージの上に、長袖のジャージを重ね着していたということです。

半ズボンのタグには「喜三」と書かれていました。

喜三さんの安否がわからなくなってから11日目、1日遺体の衣服を確認した父親の鷹也さんが取材に応じました。

父・鷹也さん「娘の服で間違いないと思った。今まで本当に捜索してくださった警察、消防、自衛隊、海上保安庁、地元の漁師さんにはこの場を借りて本当にお礼を言いたいです。本当にありがとうございました」

「寒くなるから着て」 父親の言うことを守って身に着けた長袖のジャージも

発見時、喜三さんが着ていた長袖のジャージ。

父親の鷹也さんが家を出る前、寒くなるから着るようにと伝えておいたものだといいます。

父・鷹也さん「僕のいうことをあまり聞かなかったけど、でも最後に僕が電話で長袖長ズボンをきてくれと言ったのを守ってくれたみたいで、長袖長ズボンを着ていました。僕のいうことを聞いてくれたんだと思いました」

2月、元日の地震発生後に初めて学校に足を運んだ喜三翼音さんです。

喜三さん「(みんなに)会えてうれしい、勉強についていけるか不安」

3月には、金沢市で開かれた出張輪島朝市で輪島塗職人の祖父らを献身的に手伝う姿がありました。この日、商品を最初に手渡したのは喜三さんです。

祖父・誠志さん「包装ができるようになったら次の対応ができるように。7月の夏休みの前にはほぼ完ぺきにこなしていた」

祖父母思いだったという喜三さん。

祖父・誠志さん「もうね、出る言葉がない。高校大学とじいちゃんばあちゃんの手伝いをずっとするからねと言ってくれていた」

石川県によりますと、これまでに今回の豪雨による死者は13人、安否の分かっていない人は2人となっています。

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