長引く咳などの症状が特徴の「マイコプラズマ肺炎」。東京都で患者数が過去最高となっています。子どもに多い感染症ですが、なぜこれほど感染が広がっているのでしょうか。
■「“乾いた咳”が出始めたら早めに受診を」 統計開始以降、過去最多に
良原安美キャスター:
東京都でマイコプラズマ肺炎の感染者数が増えています。
マイコプラズマ肺炎の主な症状は37度から38度の発熱、倦怠感、頭痛、喉の痛みなど、いわゆる風邪のような症状が出ます。数日後、乾いた咳が出始めて、その後、激しい咳が数週間続くこともあるそうです。
患者の約8割が14歳以下の子どもです。また、潜伏期間は感染から発症まで2~3週間で、長いという特徴があります。感染が広がりやすいと言えそうです。
インターパーク倉持内科日本橋の倉持仁医師は「抗原キットで検査をしても、細菌の増殖が遅いため、陽性を見逃してしまうことが多い。症状が咳だけの場合も多く、出歩くことで多くの人にうつしてしまう」といいます。
実際に、東京都では感染者数がかなり増えています。9月22日までの1週間で、1医療機関あたり2.80人となっています。
※都内25か所の医療機関
1999年の統計開始以降、過去最多の数です。
4年に一度流行すると言われているマイコプラズマ肺炎ですが、なぜ今年大流行しているのでしょうか。
インターパーク倉持内科日本橋の倉持仁医師は「コロナ禍で免疫を持たない人が増えている可能性がある。薬が効かない菌の出現も指摘されているので、“乾いた咳”が出始めたら早めに受診を」と話します。
■「高熱が3日4日続き、夜にはひどい咳」 見落とされてしまうケースも
ホラン千秋キャスター:
いろんな人に広がってしまうけれども、見落としというか、抜け落ちてしまうケースがあるとなると、かなり厄介な感染症ですよね。
インターパーク倉持内科日本橋 代表理事 倉持仁さん:
キットによりますが、抗原検査のキットで必ず陽性と出るわけではありません。陰性と出てしまう場合もあります。
実際には肺炎の有無をきちんと調べることが必要ですが、小児科などではレントゲンを撮る機械があまりありません。患者が何軒か回って、ご自身で「肺炎では」と話す方が多い印象です。
井上貴博キャスター:
もともと、人流が増えるオリンピック・パラリンピックイヤーに増えるなどと言われます。1医療機関あたり2.80人ということですが、重い肺炎の方もいますが、多くが軽症で済む。報告義務がないので、実態としてはもっと多いと思います。
検査を受けるきっかけ・サインは、「乾いた咳」くらいなのでしょうか。
インターパーク倉持内科日本橋 代表理事 倉持仁さん:
高熱が3日4日続いて、夜には親が見たことないくらいひどい咳という方が多い印象です。
一方、検査キットが入ってくるのが1個くらい入ってこないんです。私は宇都宮と日本橋の両方でクリニックをやっているんですが、その1個を宇都宮で使うか、日本橋で使うかという状況です。だから、あまり検査できない実情もあります。
単なる風邪として見落とされてしまうケースも多いと思います。キットが頼んでも来ないんです。おそらく無いんだと思います。
■「咳が続いている場合、レントゲンを」 小学生や中学生でも“内科”受診も視野に
産婦人科医 宋美玄さん:
都内で、小学生と中学生を育てているのですが、流行っているという話をあまり聞きません。
ただ、気になるのは、気持ちとしてコロナがみんな少し抜けてきたのか、夏秋くらいからマスクしている子がほとんどいないんですよね。
運動会などもあるので、1回流行ると学校で爆発的に流行ってしまうのではと不安になります。
患者の8割が14歳以下ということでしたが、大人はかかったり、発症したりなど、あまり心配しなくていいのでしょうか。
インターパーク倉持内科日本橋 代表理事 倉持仁さん:
大人も感染します。他のRSウイルスなどもそうですが、風邪用の症状が出て、あまり肺炎をきたすことは、子どもに比べればだいぶ少ないんです。一方、高齢の方は、マイコプラズマ肺炎で命の危険になることはあまりありません。
現状では、この3年流行っていなかったものが、明らかにすごく流行ってきている事実を知っていただくこと。
そして、検査キットがあまりありませんが、診断の一つとして、(症状が)3日4日続くときにはきちんとレントゲンを撮っていただく。そういった対応をしていただくのが一番いいと思います。
産婦人科医 宋美玄さん:
他の感染症もそうですが、やはり疑わないと見つからないことがありますよね。小児科でレントゲンの機械がないところも結構多いと思います。子どもでも内科などに行かれた方がいいケースもあるのでしょうか。
インターパーク倉持内科日本橋 代表理事 倉持仁さん:
なかなか小児科や耳鼻科で良くならず咳が続いている場合、やはりレントゲンを撮った方がいいです。早く内科も受診していただいた方がいいと思います。
産婦人科医 宋美玄さん:
内科では、赤ちゃんだと見てくれないケースもあると思いますが、小学生や中学生のお子さんだったら見てもらえるのでしょうか。
インターパーク倉持内科日本橋 代表理事 倉持仁さん:
クリニックによって違うので、事前に問い合わせしてください。
■「気づいたら一緒にマンガを」長男の2週間後、次男が…家庭内感染どうすれば
良原キャスター:
防ぐことが難しい家庭内感染についてです。
息子さん2人が感染した母親によると、2週間前に小学4年生の長男が発熱(38度後半)、咳の症状が出て、マイコプラズマ肺炎の陽性と診断されました。
2週間経った9月29日、小学1年生の次男が発熱(38.2度)、咳の症状が出て、マイコプラズマ肺炎の陽性と診断されました。
長男は薬を飲んだ翌日には熱が下がっていたそうです。2週間後に兄弟で感染してしまったということになります。
母親
「なるべく離して生活させましたが、兄弟は仲が良いので、気づいたら一緒にマンガを読むなどしていました。家庭内感染を防ぐのはとても難しいです」
どれくらいまで家庭内感染に気をつけなくてはならないのでしょうか。
インターパーク倉持内科日本橋 代表理事 倉持仁さん:
臨床の現場ではなかなか難しいです。私の子どもも2週間くらい入院しました。ただ、年中一緒にいましたが、兄の方はうつらなかったんです。
コロナのように感染力がすごく強いわけではないですが、やはり少し長期間はみた方がいいと思います。
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<プロフィール>
倉持仁 医師
インターパーク倉持内科日本橋代表理事
日本アレルギー学会専門医
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