東京電力は26日、福島第1原発で発生した汚染水を浄化処理した後の放射性物質トリチウムが残る水の海洋放出を開始したと発表した。通算9回目で、本年度は5回目になる。

福島第一原発=2022年3月撮影

◆9回目、7800トンの放出開始

 東電によると、今回は10月14日までに約7800トンを放出。トリチウムの総量はこれまでで最高の約2兆2000億ベクレルを予定する。本年度の放出は計7回を計画している。  放出に伴う魚価の低迷などの補償は18日時点で約630件の請求があり、約250件約410億円が支払われた。  また、東電は処理水の海洋生物への影響を調べるため、今回放出する処理水約10トンを採水し、その中でヒラメとアワビを飼育して、成育状況を調べることを明らかにした。  これまで、国の放出基準である1リットル当たり1500ベクレルに満たない程度に希釈した処理水でヒラメを飼育し、トリチウムの蓄積状況などを調べてきた。結果は、体内の濃度は水以上になることはなく、通常の海水へ戻すと時間の経過とともに濃度が下がったという。  東電は「ヒラメ体内でトリチウムが蓄積や濃縮はされないと考えている」と説明している。(荒井六貴) 

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