国内初となる、使用済み核燃料の中間貯蔵施設への搬入。中間貯蔵施設の操業は、使用済み核燃料の一部を再利用する国の核燃料サイクル政策で根幹となるものです。その一方で、青森県民が強い不安を持つ核燃料の長期保管につながらないようにできるかが問われることになります。

国内で初めて使用済み核燃料の搬入が完了した中間貯蔵施設が、10月に青森県むつ市で操業する見込みとなったことは国が進める核燃料サイクル政策で重要な点となります。

核燃料サイクル政策は、使用済み核燃料から「プルトニウム」や「ウラン」を取り出して再利用することです。原発で発生した使用済み核燃料は、その一部が中間貯蔵施設で最長50年間保管されたあと、日本原燃の施設で再び、原発で使えるMOX燃料に加工されます。

この計画については、7月に行われた県民説明会で参加者からは、中間貯蔵施設で最長50年の保管期間が終わったあとに確実に施設から核燃料が搬出される体制を作るよう求める意見が相次いでいました。

県民説明会の参加者(7月3日取材映像から)
「50年後に再処理工場が動いているところに運ぶという答弁は、どうしてもクエスチョンマークをつけざるを得ないので、担保がとれる状況になってから安全協定を結ぶべき」

これを受け、宮下宗一郎知事は8月に安全協定を締結する際には、あわせて覚書を結び、中間貯蔵施設事業の確実な実施が困難となった場合は、核燃料を施設の外へ搬出することなどを取り決めました。

今後は、県民に根強い不安が残る核燃料の搬出を確実にできるかが問われることになります。

国内初となる中間貯蔵施設の操業が迫るなか、宮下知事とむつ市の山本知也市長は安全確保を第一に着実に進めるよう求める考えを示しました。

むつ市 山本知也 市長
「しっかりと安全性を担保したうえで、情報公開をしっかりとやってほしいと思いますし、安全最優先でこれからも50年間、しっかりと貯蔵してほしいなという風に考えております」

また、宮下知事も26日に会見を開き、「安全に取り組みを進めることを期待したい」と強調しました。

青森県 宮下宗一郎 知事
「無事に安全に施設の中に入ったと報告を受けました。この間、青森県としては船の中への立ち入り検査、周辺の環境への検査ということで、どちらにも検査をしておりましたが、いずれも特に問題なく影響なく進められたということで報告を受けています。今後は、事業開始に向けて使用前検査が行われると思いますので、なお一層安全に留意して取り組んでいただきたい」

使用済み核燃料を確実な搬出をするために、安全協定や覚書を結んではいます。
ただ、保管期間は最長50年間で、その間は継続して政府へ協定の有効性を確認するなど対応が必要になります。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。