東京都渋谷区が民間事業者に上空を容積率として利用できる「空中権」や区道を譲る代わりに、区立小学校の建て替えを担ってもらう計画を巡り、計画に反対する区民11人が24日、譲渡のため区道を廃止するのは違法として、区を相手に廃止処分の差し止めを求める訴えを東京地裁に起こした。

◆譲る代わりは「神南小学校の建て替え」

 訴状などによると、区は1月、区役所や神南小と区道を挟み東側に建つマンション「渋谷ホームズ」に、同小の未利用の空中権や区道を譲り、ホームズ側が同小を建て替え、容積率増加により高層マンションに建て替える計画を決定。本年度中に区道の廃止処分について区議会の議決を得ようとしている。しかし、区道の廃止処分は「一般交通の用に供する必要がなくなった場合」と廃止理由を定めた道路法に違反するなどと主張している。

提訴後に記者会見する森口英晴さん=東京・霞が関の司法記者クラブで

 提訴後に都内で記者会見した原告で不動産鑑定士の森口英晴さん(61)は譲る際の区道の評価額が低く「区の財産の毀損(きそん)だ」と批判。区道が廃止されれば区役所などに車で行けなくなるため、「タクシーを使えば一人で区役所に行ける高齢者や障害者が今後は介護者なしで行けなくなる。区民にとって不便極まりない計画だ」と話している。  区は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。(加藤益丈) 

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