体外受精で生まれた子どもは2022年、過去最多の7万7206人で、10人に1人の割合となった。そうした中、不妊治療の選択肢の一つとして注目されているのが「卵子提供」。いま、多くの日本人が卵子提供のために台湾に渡航しているという。なぜ台湾なのか、その理由に迫った。
台湾の不妊治療クリニックが「卵子提供」について講演
今年7月、東京で開かれた説明会。会場には不妊に悩む夫婦など約40人が参加していた。登壇しているのは台湾の不妊治療クリニックの院長。説明会のテーマは「卵子提供」だ。
(宏孕ARTクリニック・張宏吉院長)「皆さん必ず子どもに恵まれることを私が保証します。50歳以上でも妊娠できますか?とよく聞かれます、成功例は57歳の方までいるので、子宮があれば妊娠できます」
説明会ではこの13年間で736人の日本人が台湾に渡り、卵子提供で出産した実績や妊娠率が80%以上という高さであることが強調された。
(参加者 53歳)「結婚したのも50歳だったんですけれど、不妊治療を始めたのが52歳から。今回の採卵周期で自分の卵子がダメだったら、台湾でのドナーさんを使ってというのを考えました」
(参加者 46歳)「日本であまりこういう卵子提供ないし、台湾に行ってすぐドナーもいますし選べて、すぐ移植できるというのはすごく助かりました」
台湾で卵子提供を受けると決意した30代夫婦「自分で妊娠して出産できると希望が持てた」
同じ時期、大阪でも台湾の別のクリニックが説明会を開いていた。30代後半のAさん夫婦。20代から9年以上、不妊治療を続けてきたが、妊娠には至らず病院からの勧めで初めて説明会に参加した。
(夫)「結婚したらすぐ子どもができるって思いながら過ごしてたんですが、治療がうまくいかなくて、卵子提供の話を聞いて最初はやっぱり2人の遺伝子が入った子どもというのにこだわってた。でもやっぱり僕たちの希望するところは子どもがほしい」
(妻)「海外の治療になるということで不安もあったけど、まだ自分で妊娠して出産できるという希望が持てたから、卵子提供受けようという気持ちは固まりました」
Aさん夫婦は卵子提供を受けるため、2週間後、台湾に行くという。
日本では法整備が進んでいない…
なぜ、多くの日本人が台湾に渡ってまで治療を受けるのだろうか。実は、日本で卵子提供が受けにくい理由がある。
日本では卵子提供を認める法律について議論は進められているがいまだ法案提出には至っていない。さらに、日本産科婦人科学会も卵子提供などの生殖補助医療に慎重な立場を取っている。国内のクリニックなどは国の制度設計を待っている状態のため、実質、卵子提供を受けるのは困難だ。
一方で、卵子提供などの生殖補助医療に積極的に取り組んでいるのが台湾。海外からの渡航者に医療を提供するビジネスも盛んで、台湾で卵子提供を受ける人のうち約15%は外国人だ。
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