今回のヒーローは、楽天イーグルスが誇る、左のセットアッパー鈴木翔天投手。昨シーズンリーグトップの61試合に登板した鉄腕。今年更なる飛躍を遂げ、シーズン序盤から無失点ピッチングを継続し7月、25試合連続無失点の球団新記録を樹立しました。いまや、楽天投手陣の核となった鈴木翔天投手ですが、その活躍の裏には地道な努力と周りの後押しがありました。
フル回転の活躍、鈴木翔天投手
勝利の方程式の一角として主にリードの場面でマウンドに上がる鈴木翔天投手。最大の武器は打者の手元でホップする、最速156キロのストレート。このボールを軸に投球を組み立て、貴重なリリーフ左腕としてフル回転の活躍を見せています。
楽天 鈴木翔天投手:
「去年のオフシーズンからセットアッパーを目指してやってきたので、今のところ順調に来ていると思います。もっともっと上を目指して磨いていきます」
翔天投手は2019年、富士大学からドラフト8位で楽天に入団。当時、ひじのけがもあり、楽天から支配下最後での指名となりましたが、大学時代には完全試合を達成するなど、その潜在能力は高く評価されていました。
翔天投手を奮い立たせたのは、辰己・太田選手の存在?
入団後はファームで経験を積み、1軍で戦える土台作りに励む一方、同じく大卒で同期入団の辰己涼介選手や、太田光選手らは1年目から主力選手として1軍の舞台で活躍。その姿が翔天投手を奮い立たせました。
楽天 鈴木翔天投手:
「辰己とかが活躍するのを見ていたので、応援する気持ちと悔しい気持ちを持ちながら3、4年やってきました」
地道な肉体改造で1軍定着
プロ入り当初は線が細かった翔天投手ですが、地道なトレーニングが実を結び、大幅な体重の増加と共に、強靭な肉体に進化。努力は結果にも現れ、4年目の2022年、リリーフで1軍に定着すると、去年はリーグトップの61試合に登板。シーズンを通してブルペンを支え、自らの地位を確立しました。
楽天 鈴木翔天投手:
「体重は24、25キロ、入団時より増えています。トレーナーさんからも言われていたんですけど、1年で10キロ、15キロ増やすことはできるけれど、いきなり軽自動車がフェラーリの体になっても怪我するだけだとずっと言われていたので、5年くらいかけて3~4キロを地道に増やしてきた。それがいい結果に繋がっているんじゃないかと思います」
今季、初マウンドですっぽ抜け…そこから!
そして大きな期待とともに迎えた今年。開幕2戦目で翔天投手は今シーズン初のマウンドに上がります。しかし…、ことごとくボールがすっぽ抜け、制球が定まりません。その後ピンチを招くとタイムリーヒットとワイルドピッチで2失点。思うような投球ができませんでした。
楽天 鈴木翔天投手:
「ボールの出力を上げにいっていて、その中で体が突っ込んだりする誤作動が起きていた。青山浩二コーチから体を残して軸で投げるアドバイスをもらいました」
開幕時は真っすぐ立ち、右足を上げた一連の流れで投げていました。そこから青山コーチのアドバイスを受けフォームを改良。軸足に少し体を傾け、体重を残すことで、タメが生まれました。このフォーム改良こそが、今シーズンのキーポイントとなったのです。
楽天 鈴木翔天投手:
「ZOZOマリンのロッテ戦で初めて自分の納得のいく、イメージしているボールが投げられました」
新フォームで球団新記録!
4月29日のロッテ戦、1点リードの場面で登板した翔天投手は、新フォームで打者と対します。先頭打者にヒットを打たれ出塁を許しますが、続くバッターは力の乗ったストレートで詰まらせキャッチャーフライ。さらに変化球も低めにコントロールしダブルプレー。ボールの球威、制球ともに手応えを掴み、チームの勝利にも貢献しました。
楽天 鈴木翔天投手:
「ランナーはけっこう出したんですけど、自分の感覚だったりはそこから良くなりました。今まではいい球いっているけど、メカニックがしっくりこないとか、自分の中でメカニックはいいはずなのにストレートがあまりいかないとかが多かったんですけど、その試合から両方マッチし始めて、感覚よく投げられるようになりました」
試行錯誤を経て、理想の形を自分のものにした翔天投手。好不調の波がなくなり、被打率も昨シーズンから大きく向上するなど抜群の安定感を見せると、7月31日のホーム戦で、球団新記録となる25試合連続無失点を達成。その後も記録を28試合まで伸ばし、およそ3か月間無失点ピッチングを続けました。
楽天 鈴木翔天投手:
「無失点記録とかは、全く考えずにシーズンに臨んだので、自分が一番驚いています。(Q 周りからも記録について言われたりしましたか?)全然言われなかったですね。次投げたら記録更新ですねと記者に言われたくらいで、そこで初めて記録について気づきました。僕が崩れたらチームも負けるので、最近はリードの状態で則本さんに渡すことしか考えていないですね」
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