札幌を拠点に活動するアイドルグループがいます。その名も“タイトル未定”。
メンバー3人のうち1人は、4年前、埼玉県から一度も訪れたことがない北海道に移住して、活動を続けています。身寄りもない北海道で、アイドルの世界へ飛び込んだ彼女の日々と、メンバーの思いを追いました。
北海道胆振地方の安平町で、開催されたアイドルフェスティバル。道内外から約30組のアイドルが参加しました。
なかでも、特に観客と一体となったアイドルが居ました。札幌を拠点に活動する、結成4年目のアイドルグループ“タイトル未定”。メンバーは3人です。
北海道出身のメンバー、冨樫優花(とがし ゆうか)と、谷乃愛(たに のあ)。
そして、もう一人、阿部葉菜(あべ はな)は埼玉県の出身です。
ファンと交流する撮影会では、出演したアイドルの中で、1番長い列を作っていました。“タイトル未定”のファンは、北海道内だけではありません。
神奈川県から来たファン“たくさん”
「今年に入ってからは、2か月に1回は来ています」
(Q 交通費などもかかると思うが?)
「考えるところはありますが、単純に好きなので、気にせず来ています」
世界最大級のアイドルフェスティバルでは、乃木坂46などと同じ、メインステージに立つほど、いま注目されているグループです。
プロデューサーは、東京で数々のアイドルを手がけてきた松井広大さん。
東京ではなく、札幌という場所を拠点にした理由について、松井さんは、こんな思いを言葉にしました。
TSUIMA 松井広大プロデューサー
「福岡、大阪、名古屋といった主要都市に比べて、北海道のアイドルは少ない」
「東京にいろんなコンセプトのアイドルがあって、アイドルファンが多いから、東京がすべてではなく、その掛け算を有効活用できるのは、北海道の食文化だったり、雪だったり…、上手く出来るのではないかと思って…」
この日は、メンバー3人が出演している、HBCラジオの番組『タイトル未定の、日曜の予定は未定』の収録日です。
“タイトル未定”メンバー3人
「こんばんは!“タイトル未定”の冨樫優花と、阿部葉菜と、谷乃愛です!よろしくお願いいたします」
番組が始まって、約1年が経った彼女らに、緊張する気配は感じられません。
“タイトル未定”メンバー 冨樫優花
「人がいっぱいいると、静かになっちゃうんですけど…、最近はちょっとずつしゃべれるようになってきて…ラジオは楽しいですね」
“タイトル未定”メンバー 谷乃愛
「『北海道の顔』になることが、“タイトル未定”の目標なので、いろんなメディアに、たくさん出演したい!っていうのが、(メンバー)みんな同じ気持ち」
3人のメンバーで唯一、生まれが北海道ではなく、埼玉県出身の阿部葉菜さん。
もともと東京で学生をしながら、アイドルグループの一員として、細々と活動していました。そのグループを卒業後、様々なアイドルオーディションを受けるものの、ことごとく失敗。
そして4年前に“タイトル未定”のメンバーとなり、それまで一度も訪れたことがなかった、北海道への移住を決断しました。
“タイトル未定”メンバー 阿部葉菜
「最初つらかったのは、北海道だからつらかった…というよりか、思い出のない、知らない場所に一人で来てしまったことが、寂しさの原因だったので。基本、飛行機を使わないと実家に帰れないので…」
アイドルグループ“タイトル未定”のメンバーとなり、北海道に移り住んだものの、新型コロナウイルスの感染が拡大。
その影響で、アイドルとしての活動の機会は減り、生活費を捻出するためのアルバイトも、思うようにならない状況に陥ったといいます。
そんな彼女が、切羽詰まったときに、訪れる場所があります。札幌中心部にある観覧車です。
“タイトル未定”メンバー 阿部葉菜
「デビュー当初は、やることもないし、本当にこれ大丈夫かな。アイドルになれるのかな?と思って」
埼玉県から、固い決意で北海道に移り住んで4年。観覧車に一人で乗りながら、阿部葉菜さんの心には、どんな“景色”が広がっているのでしょうか。
“タイトル未定”メンバー 阿部葉菜
「外を歩いていても、知らない看板、信号機の形が違うな…とか、ぜんぶ不安、怖かった」
「高いところからみると、全部、物理的に俯瞰できるから…せっかく来たし、絶対やろうという気持ちが強くなる。ここに居ると…」
アイドルグループ“タイトル未定”のメンバー3人。“何者かになろうとしなくていい。何者でもない今を大切に…”。
その思いを抱きながら、未完成である彼女たちは『北海道の顔』となるため走り続けます。
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