ハンドボールの新リーグ「リーグH」。富山県氷見市が拠点の「富山ドリームス」は、創部3年目で日本一を目指します。チームで唯一、氷見市出身の森康陽選手。大けがと能登半島地震を乗り越えファンに活躍を誓います。

日本のハンドボールを世界トップレベルへ今シーズン誕生した「リーグH」。

日本のトップ男子14チームが参戦。「富山ドリームス」は、日本一を目標に掲げあすホームでの開幕戦に挑みます。

吉村晃監督:「日本一を目指す集団でありたい。相手に思いっきり突撃していくようなスタイルを出せればな」

チームで唯一、氷見市出身の選手がいます。森康陽(もり・こうよう)選手。身長165センチとリーグでは小柄ながら当たり負けしないディフェンスが持ち味です。

森康陽選手:「自分の持ち味である運動量を生かして果敢に大きな選手に体当たりしてアグレッシブなディフェンスを皆さんに見せられたらなと」

衣笠友貴選手:「チームの中でもベテランの枠に入ってくると思うんで、その精神的な部分にもね」

森選手:「サポートしていきたい」

笠友貴選手:「って思ってる?」

チームの愛されキャラでもあります。

ハンドボールと営業マン 二足の草鞋

氷見高校OBの森選手。氷見高校を卒業後、地元のクラブや福岡県の実業団チームでプレーしてきましたが、富山ドリームスの発足とともに2年前、氷見で戻ってきました。

森選手:「地元でチームができるっていうことだったので、僕もチャレンジしたいなと。ハンドボールで結果残して恩返ししていけたら」

氷見の実家に暮らしながら地元のケーブルテレビで営業マンとして働いています。

森選手:「まだ、慣れないので緊張してます。ケーブルネットの車で(街に)出たときに、「あ、ドリームスの選手け、って言われることもあるので、知られてきているので自覚持って責任持ってやっていきたい」

しかし、昨シーズンは、リーグ開幕直後に、激しい接触で前十字靭帯を断裂。全治半年と診断されチームも失速しました。

森選手:「痛みとかではなく、終わったって。大けがっていうのは瞬時に分かっていたのでくそっていう悔しい思いが先にこみ上げてきました」

ひと月ほどの入院生活。その中で、いまも癒しの存在になっているものがありました。

森選手:「入院のときにユーチューブで(錦鯉が)流れてきて退院してすぐその足で買いに行って最初4匹から始めたんですけど、いまは15匹」

大けが乗り越えた矢先に…

しかし、前を向き始めた森選手に再び大きな試練が訪れます。元日。

能登半島地震です。震度5強の揺れを観測した氷見市。液状化、家屋の倒壊、断水などで多くの住民が避難を余儀なくされました。

氷見市の自宅で過ごしていた森選手。

森選手:「年始だったので家族みんなで集まって北大町という地域の方でみんなご飯食べているときに、姉も子どもが生まれたというのもあって、みんなで“良かったねー”って言いながらご飯食べているときにゴロゴロゴロと地震が起きたという感じですね」

森選手の自宅は、液状化の被害が甚大だった氷見市北大町。

壁にヒビが入ったほか、屋根瓦がずれるなどの被害がありました。

森選手:「じいちゃんの車のタイヤが乗っていたのがドーンと落ちてへこんだりとか、すごい被害受けた人たちから比べれば自分の住んでいた家はまだ無事だったかなと思うんですけど…」

チームの練習拠点である氷見市ふれあいスポーツセンターも避難所の一つとなり、練習が出来ない状態となりました。

プレーできるありがたさ噛みしめ目指すは…

ことし1月21日。

庄司選手:「俺たちのホームや」

ふれあいスポーツセンターでの練習が再開しました。選手たちにも自然と笑みがこぼれます。

森選手:「僕自身は生まれてからずっとここでハンドボールに携わって来たので、やっぱりこの場所で練習できるのはありがたいこと。今回こういう地震があったので、そういうのも含めて、やっぱり…ありがたいなと。普通の生活がありがたいなと感じますね」

早速、元日からできていなかったゲーム形式の練習を行いました。

被災した氷見市民の力になれればと、森選手はボランティアにも参加しました。

森選手:「自分たちがハンドボールできる環境があるのはすごい幸せな環境なんだなっと改めて感じましたし、いまこう現実に被災してしまったということは事実なので、少しでも早く復興できるように自分たちがどう動けるかっていうのはすごく考えました」

あの日から8か月。世界トップを目指すために生まれ変わった新リーグ「リーグH」が先週、開幕し被災したハンドボールの街に元気を取り戻す戦いが始まりました。

ホームでリーグ初勝利をあげるため被災地のチームとして、地元出身の選手として…。人一倍強い思いを胸に全力プレーを誓います。

森選手:「氷見市出身として/いまこうプレーできていることを噛み締めながら、日頃、これからも頑張って少しでも富山県を盛り上げていけるように自分自身もがんばっていきたいなと思います」

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