「死刑囚に対し、死刑執行を当日に告知するのは憲法違反だ」などとして、死刑囚2人が国を訴えていた裁判。大阪地裁は死刑囚側の訴えを全面的に退ける判決を言い渡しましたが、4月23日、これを不服として死刑囚側が控訴しました。

 ▼確定死刑囚2人が「当日告知は違憲」として国を提訴

 現在、日本の死刑執行は、執行の1~2時間前に死刑囚本人に告知されています。

 この運用をめぐり、確定死刑囚2人は国に対し、「当日告知」は刑罰執行の手続きの面でも、人間の尊厳の面でも憲法などに違反しているとして、▽当日告知に基づく死刑執行を受け入れる義務がないことの確認と、▽精神的苦痛に対する2200万円の賠償を求め、大阪地裁に提訴していました。

 ▼死刑囚側が敗訴「確定した死刑判決との矛盾を生じさせるから許されない」

 大阪地裁(横田典子裁判長)は4月15日、
▽当日告知に基づく死刑執行を受け入れる義務がないと確認することは結局、死刑執行を許さない効果を生み、確定した死刑判決との矛盾を生じさせるから許されない
▽当日告知も含めた死刑執行方法の違憲性・違法性は、刑事裁判で争うべきだ
として、義務がない確認を求めた訴えについて「却下」(=門前払い)しました。

そのうえで、

▽死刑囚には「執行を受ける時期」についての自己決定権がないのだから、「執行の時期を事前に知り、それまで自分がどのように生きるかを決める権利」が保障されているとは言えない
▽執行前日に告知を受けた死刑囚が自殺したケースがあった経緯を踏まえれば、当日告知は心情の安定などの点で一定の合理性を有する
などとして、慰謝料の請求も「棄却」。死刑囚側の訴えを全面的に退ける判決を言い渡していました。

 ▼「国側の主張に沿った判決なので正したい」死刑囚側が控訴

 大阪地裁によりますと、この判決を不服として、4月23日に死刑囚側が大阪高裁に控訴したということです。

 確定死刑囚の代理人の金子武嗣弁護士は、「15日の地裁判決は、あまりにも国側の主張に沿った判決なので、控訴審でそれを正したい」としています。

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