毎年8月15日に行われる長崎のお盆の伝統行事「精霊流し」。大量の爆竹を鳴らして道を清めながら、故人の御霊を乗せた精霊船を西方浄土に送ります。車両も通行止めとなる流し場へと続く道には、役目を終えた爆竹や花火の燃えがらが大量に残りますが・・・翌日には見事なまでにきれいになっているのです。いったい誰が、たった一晩で町を元に戻してくれているのでしょうか?

精霊流しの後片付け、それを一手に引き受けているのは、市や県が業務委託を行っている清掃業者です。

一晩の清掃代金は?

今年度の委託費は、長崎市内で見ると市道を管理している市でおよそ400万円。国道や県道を管理している県でおよそ1100万円。長崎市内だけでおよそ1500万円かかっている計算です。これはすべて税金で賄われています。

花火の片付け誰がやるべき?

長崎県は2018年に県民を対象にアンケート調査を実施しています。「花火の燃えカスの片付けは誰が行うべきと考えますか?」という問いに対し、57%が「花火の使用者」、29%が「国・県・市などの行政機関」と回答しました。(平成30年:精霊流し後の道路清掃に係る経費についての県民意識アンケート調査結果より)

長崎市には「船を流した人から清掃費の手数料を取れないのか?」という意見が寄せられているとのことですが、市では「精霊流しは過去からの風習で、精霊船を流すことは、廃棄物を排出するものではないという市民感情もあります。このような歴史的背景や解決すべき課題が多く、現時点においては、精霊船等の処理手数料は徴収しておりません」としています。

故人と親交があった人達が船のまわりに集い、大音量の爆竹の音に悲しみをまぎらせながら、次の一歩への力をもらう精霊流し。様々な支えがあって続いてきた長崎の伝統行事のひとつです。

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