戦時中の日本で発生した南海トラフ地震についてご存知でしょうか。
それは1944年の「昭和東南海地震」です。
当時、情報規制により正確な被害が報道されなかったことから「隠された地震」とも言われています。

1944年、紀伊半島沖を震源とする南海トラフ地震「昭和東南海地震」

静岡県の駿河湾から、日向灘にかけてのプレートの境界で発生する「南海トラフ地震」。
およそ100年から150年の間隔で発生する大規模地震で最後に起きたのは、1944年、紀伊半島沖を震源とした「昭和東南海地震」と、その2年後に発生した和歌山県南方沖を震源とした「昭和南海地震」です。

このうち、マグニチュード7.9、当時の震度階級では最大の震度6を観測した「昭和東南海地震」は太平洋戦争の真っ只中の日本を襲いました。

提供 半田市立博物館



(防災システム研究所 山村武彦所長)
「戦争中ですから報道管制が厳重に引かれていたわけで、そういう情報を広く発信しなかった。いわば隠された大地震ということになります」

死者・行方不明者は約1200人

この地震では、軍事工場が集中していた静岡県、愛知県、それに、三重県を中心に地震と大津波が襲いました。

提供 津地方気象台



死者・行方不明者はおよそ1200人に上ったとされていますが、国民の士気が下がることなどを警戒した政府は報道を規制し、正確な被害情報は明らかになりませんでした。

提供 半田市立博物館



(防災システム研究所 山村武彦所長)
「全国の国民は、地震があったことはわかったかもしれませんが、規模とか、被害の状況を全く知らされなかった。その結果、被災者も含めて救助活動とか救援が遅れた。あるいは、物資もすぐに集まらなかったということも、非常に悲惨な状況を生み出していたんではないかと思います」

提供 津地方気象台

南海トラフ地震 宮崎県内の震度は小さくても津波のリスク

昭和東南海地震で宮崎県は震度1を観測し、被害に関する情報はほとんど残されていません。

ただ、京都大学防災研究所宮崎観測所の山下裕亮助教は、南海トラフ地震について震度が小さくても、県内には津波が襲ってくるリスクがあると指摘。

地震が発生したら揺れの大きさにかかわらず、津波のおそれがあると避難の意識を持つことが大切だと呼びかけます。

(京都大学防災研究所宮崎観測所 山下裕亮助教)
「南海トラフ地震の場合は、若干、宮崎から震源域が離れる分、思ったほど強く揺れない。今回(8日の地震)よりも強く揺れないケースが出てくる。しかし、地震自体はマグニチュード8を超える巨大地震です。マグニチュードが大きいと津波は必ず大きくなりますから、そういう意味で、とにかく震度だけで津波の大きさを判断しない。『強く揺れてないから大きい津波は来ない』などということは大きな間違いですから、本当に気をつけていただきたい」

(スタジオ)
「昭和東南海地震」のことを知らなかったという方も意外に多いのでないでしょうか。
このように大きな地震が戦時中にあったということですが、時の権力者というのは、えてしてこのような情報操作をするものだという事実が浮き彫りになっています。

※MRTテレビ「Check!」8月15日(木)放送分から

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。