住宅賃貸大手の大東建託が今月発表した「住み心地・住みたい街ランキング」。

県内の「住み心地」では北谷町が6年連続、「住みたい街」では、那覇市が5年連続で県内1位を獲得する人気の街です。

しかしそうした人気エリアほど物件は少なく、沖縄の住宅市場は今、高止まりを続ける“不動産バブル”状態。県民の生活を圧迫し始めています。街で県民に聞いてみるとー

住居費が高騰する沖縄の好物件

▽家族で住む女性
「賃貸を2年前に借りました」
「物件がなく、たまたまキャンセルが出たところに急いでその日で申し込みをして」

▽2年前にマンションを購入した男性
「仕事で東京に出張したときにモノレールや地下鉄で見る広告の金額が、沖縄の方が高いときがある」「沖縄が追いついて、追い越しているような。広告見たら結構実感があります」

▽男性
「資材が高騰しているから、新しく家を建てたり購入するというのは大変かなと」「いざというときに家を買える資金を貯めるようにしているところですけど、あまり良い家は昔みたいには建てられないと思いますね」

沖縄の地価上昇率は全国トップクラス

県内外の富裕層による投資や移住希望者も多く、住宅需要が増えている一方、沖縄の限られた土地の供給は限定的で、かつてない“不動産バブル”と言える状況が続いています。

▽県不動産鑑定士協会 高平光一会長
「土地がないですね。もう。沖縄県の皆さんにとって土地は大事ですからなかなか売りに出さないというのもあるんですけれども、良好な土地がなくなってきた、というのは背景にあると思います」

県不動産鑑定士協会 高平光一会長


「供給がないのでどうしても、たまに出ると非常に高額になりがちだというところはあるのと、あとやはり県外の移住者を含めた県外資本とか、県外の方の需要が大きくなっているのも背景にあるかと思います」

県外の富裕層が価格を引き上げ「億ションもすぐ売れる」

県不動産鑑定士協会が半年に1回発表している不動産DI(市況を示す指数)によると、宅地・マンションとも、全エリアで8割を超える事業者が、移住者や県外参加者の影響を指摘していて、所得の高い県外の購入者が、価格を引き上げている状況が表れています。

本土大手がマンション建設を予定する那覇市の一等地

引き続き、沖縄の住宅需要は高止まりが見込まれるなか、先月には日銀が政策金利の引き上げを決定。今後は、住宅ローンの金利上昇といった影響も予想されていて、県民には“将来不安”が広がっています。


▽県不動産鑑定士協会 高平光一会長
「単純に、利息が上がるということは住宅ローンにしても調達コストが増えることになりますので、その辺はやっぱり不動産マーケットに影響が出てくる可能性は高いですね」

買いたくても買えない、売り手市場が続くマンション相場。賃貸物件においても、
状況は、数年前に比べて大きく変化をしています。

県内の賃貸物件の稼働率は、全域で全国平均を上回っており、特に那覇市では、90%を超える水準。

「賃貸物件も空きが少ない」と仲介業者(那覇市おもろまち)

那覇市おもろまちの「アパマンショップ」でも、98.4%と全国平均を大きく超える水準で推移しています。

5年で賃料が月4万円上がった高級マンションも

▽片野達朗キャスター
「那覇新都心エリアのマンション、間取りは3LDKで賃料は月22万円。ここ5年で大きく上昇しています」

ここ5年で4万円賃料が上がった那覇新都心エリアのマンションの1室

人気の那覇市・新都心エリアなどは、なかなか空きの出ない環境に加え、ここ数年の物価高の煽りを受けて家賃の上昇が顕著に。特にファミリー向けの広めの間取りの部屋に需要が集中し、賃料の高騰が続いています。

▽中部興産株式会社 那覇新都心店 奥間要 店長
「空きがもうほとんどなくて、問い合わせを受けてもご紹介出来る物件がないというのが現状です」「特に新築物件の賃料の高騰が特に目立っていて、4年~5年前と比べると1万円とか上がっているような物件も多くて」「既存の物件も入居者を募集する際には5000円ほど賃料を上げて募集している物件がほとんど」


かつては全国平均を下回っていた沖縄の家賃相場は今や、一部では大都市圏と肩を並べる水準に。目まぐるしいスピードで高騰していく住居費は、県民の生活を圧迫する状況を起こしています。

東京の高騰と連動する地価 過剰になれば県民生活を圧迫

▽県不動産鑑定士協会 高平光一会長
「沖縄は昔は、東京などの地価の動向に数年遅れて反映される傾向が強かったんですが、リーマンショックの頃あたりからタイムリーに類似する傾向がある」「
東京が上昇しているうちは沖縄も比較的上昇傾向が強いというか、そういう相関関係は少しありそうですね」

沖縄の“不動産バブル”はいつまでー

沖縄の不動産バブルはいつまで続くのかー

値上がりを続ける地価を背景にした住居費の高騰と、県民140万人の暮らしの間には大きな溝が広がっています。(取材 片野達朗)

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