郷土芸能に打ち込む高校生を一同に集めたイベントが28日、岩泉町で開かれました。能登半島地震の被災地を支援しようと、イベントには北陸の高校生も招かれました。郷土芸能がつなぐ高校生たちの絆です。

28日、岩泉町で開かれた「郷土芸能フェス」。
岩手県内外で郷土芸能に打ち込む6つの学校の生徒が集まり、各地に伝わる伝統芸能を披露しました。イベントを企画したのは岩泉高校の高校生です。
今月5日、教室に集まっていたのは2年生の生徒7人。

今回のイベントの実行委員会のメンバーです。

(仲いいですか?)
(実行委員メンバー)「仲?あ、はい!」

イベントで地域を盛り上げようと、7人は本番のスケジュールを考えたり、広報を実施したりと様々な準備を進めてきました。

この日は学校の外へ。
(実行委員)
(記者:今から何しに?)
「今からポスターを貼ってもらえるよう頼みに行きます」

イベントのポスターは岩泉高校の3年生の生徒がデザインしたものです。
町のあらゆる施設に掲示をお願いして回りました。
準備の中で一番大変だったのは協賛金集めでした。

(実行委員)
「どこの会社に回るかを100社以上リストアップして、その中から40社以上電話をかけて訪問した。大変でした」

苦労の甲斐もあって、目標額の倍以上となるおよそ27万円が集まりました。

今回のイベント開催にはもう一つの目的があります。
能登半島地震の被災地を支援することです。
イベントには北陸の富山県で郷土芸能に取り組む高校を招くことにしました。
イベントに参加する南砺平高校・郷土芸能部で部長を務める長谷英里子さんです。

(長谷英里子さん)
「郷土芸能部は、『五箇山民謡』という民謡を伝承するために、3学年あわせて35人で活動しています。全校生徒の半数以上が所属しています」

長谷さんは今年の元日、車の中で大きな揺れを体験したといいます。

(長谷英里子さん)
「車もすごく揺れて、家もすごく揺れているのを見て、最初本当に初めてのことで『どうしたらいいんだろう』と思った。友達が能登に近い氷見市にいて、家の瓦が落ちた、お墓がずれたという被害があったと聞いた。見てくださる方々を元気づけたり勇気づけたりしたい」

イベント当日。会場には多くの人たちが訪れ、高校生たちの力強い演舞に魅了されていました。


そして南砺平高校の出番です。

(長谷英里子さん)
「みなさんに拍手をもらえてすごくうれしかった。私たちが楽しんでいる舞台をみなさんにも楽しんでいただけたと思う。心の底から見ていると涙が出てくる。それだけ郷土芸能は人の心を打つものなんだなと思う。岩手も富山も今まで地震とか災害に遭っているので、お互いに手を取り合って復興に向けてがんばっていければと思う」

イベントは大盛況で、大役を務めた実行委員のメンバーも胸をなで下しました。

(三上泰知実行委員長)
「大変なことが多かったが、地域のため、復興支援を頭に入れていたから乗り越えることができた。思いの交流の場になった。こういう機会を作れてよかった」

会場では募金も行われ集まったおよそ8万円と協賛金の残りを合わせたおよそ20万円が能登半島地震の被災支援に活用されます。

郷土芸能がつないだ2つの地域の高校生たちの絆はこれからも続きます。

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