※この記事には性被害に関する記述がありますので、読まれる際はご注意ください

「お父さんとは、何回かした」

性被害に遭ったのは、13歳の時。加害者は実の父親だった。

そして被害者となった娘が妊娠していることに気付いたのは、一緒に入浴していた母親。その相手を知ったときの心境について「目の前が真っ暗になった」と証言した。

「被害者からの『アプローチ』を受け、してはいけないと思いつつ『アプローチ』されて、自分の性欲と、徐々に罪悪感が薄れ、回数を重ねていってしまった」

被告として法廷に立った父親は、複数回に及んだ行為について問われ、振り返った。

プライバシー配慮の名目で、全てが匿名のうちに進められた裁判。
審理が進められる中で「家庭内という閉鎖的な環境」で行われた異様な犯行の実態が明らかになった。
裁判で示された証拠や、認定された事実などを元に振り返る。

(前編・中編・後編のうち前編)

7回くらい性交渉 恋愛感情はなかった

2024年3月26日。
当時13歳だった実の娘と性交渉を繰り返し妊娠させたとして、不同意性交の罪に問われた父親の初公判が、松山地裁で行われた。

「間違いありません」

年齢は40代くらいだろうか。
被告として証言台に立った男が、起訴内容を認めた。

裁判では、プライバシーに配慮するため、登場する人物の名前を伏せられたまま進行されたことから、被告となった父親の氏名や年齢は分からない。

検察官による冒頭陳述が行われる。

被害者となったのは、離婚した前の妻との間にもうけられた娘だった。
被告人の供述が読み上げられる。

「これまでに7回くらい性交渉をした。恋愛感情はなかった」
「被害者と性交渉を重ねるうち、罪悪感が薄れていった」
「妊娠してはいけないと思い、避妊具をつけた」
「家族らに迷惑を掛けて申し訳ない」

「お父さんとは何回かした」「目の前が真っ暗に」

5月7日の裁判では、証拠調べが行われた。
傍聴人はまばらで、報道機関の記者もほとんどいない。
黒っぽい上着に猫背姿の被告が、3人の刑務官に付き添われて入廷する。

検察官が、証拠の内容を読み上げる。
まずは、被害者の証言が提出される。

「お父さんとは何回かした」
「一番最近は去年(=2023年)12月だった」

続いて、被告の現在の妻の証言が読み上げられた。

「娘の上に乗って腰を振っていたのを目撃した」
「去年(=2023年)12月、被害者となった娘と一緒に入浴した際、体を見て異変に気付き『もしかして』と思ったが、流石にそれはないと信じないようにした」
「その後、妊娠の事実を知り『相手は誰? もしかして私が知ったら困る人?』と聞いた際、娘がうなずき目の前が真っ暗になった」

『お父さんだけが悪い訳じゃ…』寛大な処分を求める妻と娘

6月4日の裁判。
引き続き証拠調べが行われた。

「性行為は、許されることではない、反省して欲しい」

弁護士が、現在の妻と元妻、そして被害者の娘が、被告に対して寛大な処分を求めていること、社会復帰後には監督を約束する旨を記した上申書を読み上げる。

「(被害者の)娘は『お父さんだけが悪い訳じゃない』といった趣旨をSNSに投稿したり、ノートに書き込んでいる」
「子どもたちは、被告と早く一緒に暮らしたい、家族一緒に暮らしたいと思っている」

その上で、社会生活の中での更生を望むと結んだ。
そこにどのような背景があり思いが込められていたのか、触れることはできなかった。

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