今回のヒーローは、楽天イーグルス、藤井聖投手。多彩な変化球を武器にシーズン前半でチームトップの7勝を上げ、球団創設20年目にして初のセ・パ交流戦優勝にも大きく貢献しました。プロ4年目で先発ローテーションに入り、一気に覚醒。自身を「モブキャラ(その他大勢)だった」と語る27歳の遅咲きの左腕がエース格にのし上がった軌跡を辿ります。

交流戦「投打」で魅せた!

2024年6月6日。阪神タイガースとの交流戦で、人生初の甲子園のマウンドにあがった藤井投手。満員に膨れ上がった敵地でも安定した投球を披露し、8回途中1失点、チームを交流戦単独首位へと導きました。さらにファンの間で話題となったのが、バッティング。バッターボックスへと向かいながら高くジャンプ!同じ大学の先輩・鈴木大地選手のマネなんです。

楽天イーグルス 藤井聖投手:
「普段からおふざけで大地さんの真似を結構やっていたので、交流戦の時に“お前絶対俺の真似しろよ”と逆に大地さんに言われていたので、やりました」

先輩が乗り移ったのか、プロ4打席目で初安打・初打点をあげ、自らのバットで勝利をたぐり寄せました。そしてこの日、クローザーとして試合を締めくくったのは、鈴木翔天投手。実はこの2人にはある共通点がありました。

「モブキャラ外野手」が投手になったキッカケ

藤井聖投手と鈴木翔天投手。2人は少年時代に同じチームに所属し、ともに外野手でした。

楽天イーグルス 鈴木翔天投手:
「相当エモいですよね。中学校の時はね、2人してモブキャラで目立っていなかったですけど、こうして2人して野球を頑張れているので嬉しい」

楽天イーグルス 藤井聖投手:
「完全モブキャラですね、僕ら2人は。すごいやつらがいっぱいいて、僕らはそれを支えるような存在だった。誰も僕らがプロに行くとは思っていなかったと思います」

外野手から投手になったのは、高校生のとき。

楽天イーグルス 藤井聖投手:
「小学校の時からずっとピッチャーをやりたくて、でもなかなかやらせてもらえなかった。中学でも“やりたいです”と言ったけど、やらせてもらえなくて。高校入る前に両親にも“高校でピッチャーをやりたい”と言っていて、本当にやりたいで“ピッチャー用のグローブ買ってください”とお願いして高校の時に当時のコーチに“投手をやりたいやりたいやついるか”と聞かれ“ここしかない”と思い“やりたいです”と手を上げたのが、きっかけ」

遠い勝利…同期はプロへ

ようやく歩み始めた投手への道、藤井投手は高校3年の夏に結果を残し大学へと進学します。しかし、現実はきびしく、4年間で一度も勝利投手にはなれませんでした。同期の投手3人はプロを志望。ドラフト指名を待つ会場には社会人野球に進路を決めていた藤井投手の姿もありました。当時をこう振り返ります。

楽天イーグルス 藤井聖投手:
「悔しさはまったくなく、すごく誇らしくて嬉しいという感じでしたね。そして、2年後、“次は僕が行くんだ”と思いました。(同期3投手が)1年目から活躍していたのですごく励みになってましたし、頑張る活力にもなっていました」

“プロ野球選手になりたい“その思いがついに実を結んだのは2020年。楽天イーグルスからドラフト3位で指名されました。

とにかく諦めない、謙虚な男。

楽天イーグルス 藤井聖投手:
「スーパースターではなかったのでとにかく諦めず強い気持ちを持ってやり続けた結果、プロ野球選手になることができたので“諦めないこと”がすごい大事だと僕は思います。周りと見比べて自分が劣っている思うことがあると思うが、僕はそこで絶対諦めてこなかったので、それがいい結果に繋がったので今の小学生とか中学生には諦めずやってほしい」

今シーズンはここまで、チームトップの7勝。大学の同期のなかでも、一番、勝利数を重ねています。それでも藤井投手は「まだ追いついていない」と謙遜します。

楽天イーグルス 藤井聖投手
「いや、まだまだじゃないですかね。やっぱり 全然まだまだ追いつけてないと思う。(ここまでの自己採点は?)良いこともあれば悪いこともあるので、50点くらいじゃないですかね。勝ち星をあげられてるところは良いことですし、ピンチを作っても粘り切れているのはすごく良いこととは思います。でも勝ち星こそあげられているが、投球イニングは全然投げられていない。“勝たせてもらっている”と思っている。先発をやっている以上 完投もしたいし、最低7回以上投げなきゃいけないと思っているのでまだ50点ぐらいだと思います」

ボールを低めに集め、打たせ5取る投球が真骨頂。藤井投手の投げる試合では、ショートの村林選手をはじめチームメイトのスーパープレーが連発します。

楽天イーグルス 藤井聖投手:
「いつも村林選手に すごく助けられているので、頼もしいです。すごく感謝していますし、常々感謝を伝えています。いつも野手とも話すことも多いですし、リリーフ陣にも“いつもありがとうございます”とは伝えています」

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