エイサーの太鼓に合わせ、三線を弾く男性。その正体は、お笑い芸人。笑いを交えながら、伝統芸能を幅広い世代に伝えています。(RBC NEWS Link「つなごう沖縄」7月18日放送回)
2010年に結成されたコンビ「オリオンリーグ」。
ツッコミの玉代勢(たまよせ)と、ボケの剛(ごう)くん。ともに県出身で、20年間東京で活動をしていましたが、2年前に地元沖縄へUターン。芸人目線で、地域を盛り上げる活動に取り組み始めました。
▽オリオンリーグ・玉代勢さん
「(東京には)沖縄の情報が、まず入ってこないじゃないですか。新聞を見ても沖縄であった出来事はほとんど載らない。地元の情報がこんなに届かないんだなというストレスはどこかでずっと感じていた」
「だから、沖縄に戻ってきた時には伝統芸能とお笑いをコラボして何かやりたいな!というのはありました」
そんな思いをもとに、有志たちで立ち上げたのが、「吉元橙風太鼓」。
少子化や青年会への加入減少により、成り手不足が叫ばれ始めているエイサーの魅力を伝えようと芸人が中心となって結成されました。
▽オリオンリーグ・玉代勢さん
「沖縄の血というか、太鼓の音や三線の音色を聴くと心がはずんだりする部分がある。(エイサーは)地元を知るきっかけにもなると思うので、ぜひエイサーというのは、廃れることなくあってほしい」
「幅広い世代に楽しんでもらおうとエイサーを題材とした喜劇も組み合わせつつ、カッコ良さやダイナミックさも追求。日々練習に励んでいます。
▽芸人・島袋 忍さん
「汗の量がヤバいですね。体力の消耗がすごい…」
▽芸人・新本奨さん(初恋クロマニヨン)
「微力ですけど、やっぱりエイサーって良いなって伝えたいですね、僕は」
▽オリオンリーグ・玉代勢さん
「おじさんたちがこんなに頑張って、楽しくやっているんだから、若い子たちのエネルギーでやったらもっと迫力ある、もっと違ったものができると思う。僕らを見てやりたいなと思ってくれる人がいたら嬉しい」
そしてもう1つ。今話題になりつつある活動が、組踊漫才です。舞踊家として活躍する嘉数道彦さんとともに、組踊を漫才で面白可笑しく表現しています。
▽舞踊家・嘉数道彦さん
「同世代や若い世代が、なかなか伝統芸能に足を運びづらい入口が少ないという意味では伝統芸能も色んなチャレンジをしていかなければ新たな観客層をつかむことができないと重々感じていましたので、新しい挑戦としてやってみましょうと」
漫才では、様々なシーンを組踊風に表現。暴力的な描写は見せず、音で表現するという組踊のルールにのっとると、往年の名プロレスラー・アントニオ猪木の闘魂注入シーンも面白おかしくなる。
▽嘉数 「やからむん、歯を食いしばれ」
▽玉代勢 「八・八調の猪木のセリフ、ここでビンタが出てくる訳ですね」
▽嘉数 「いちゅんど~」
▽玉代勢 「どこ行く?どこ行く?」
・・・舞台袖にハケて・・・「バチン!」
▽玉代勢 「何この音!…舞台袖でビンタしてた~」
実は、ボケ担当・剛くんと嘉数さんは、中学の同級生。その縁で今回の企画が実現しました。
▽剛くん
「組踊ファンの方も来てくれていますので、道彦のそういう姿を見るのが斬新みたいでビックリされますね。帰り際などに、嘉数先生のあんな姿を見られるなんて、と」
▽舞踊家・嘉数道彦さん
「組踊漫才を見たお客様が組踊や沖縄芝居の舞台に足を運んでくださいっている組踊関係者からも嬉しいと声もあがっていますし、(出演者も)普及活動の重要性を感じています」
テレビや舞台の枠にとらわれず、芸人ならでは目線で伝統芸能や文化を伝えていく
こうした取り組みはSDGsの目標にもつながっています
▽オリオンリーグ・玉代勢さん
「勉強しながら沖縄の良さを発信できる立ち位置に今いると思うんですよ。だから東京とは違う、新しいお笑いのカタチ、それが伝統芸能の継承の少しでも助けになってればいいなと思います」
Uターン芸人、オリオンリーグ。伝統芸能の魅力を伝える彼らの活動はこれからも広がりつづけます。
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