子どもを中心に夏に流行し、手足や口に発疹ができる「手足口病」。全国の患者の数が急増し、“警報レベル”の目安を超えています。

■手足口病 全国で“警報レベル” 医師に相談した方がいい症状は?

南波雅俊キャスター:
国立感染症研究所によると、全国約3000の小児科で6月24~30日までの1週間に報告された患者は、1医療機関あたり8.45人で、14週連続で増加しているといいます。

37都道府県では「警報レベル」の目安(5人)を超える状況です。
最も多いのが、▼三重県22.73人 ▼兵庫県13.42人 ▼鹿児島12.8人 ▼香川12.75人などで、東京都では6月中旬あたりから「警報レベル」に達し、6月24~30日までの1週間で平均9.88人となりました。

ウイルス性の感染症である手足口病の特徴は、▼口や手足などに発疹 ▼発熱や喉の痛み ▼まれに脳炎などの合併症 ▼90%前後が5歳以下の乳幼児であるといいます。

現在の流行について、長崎大学大学院 森内浩幸教授は「夏風邪の1つで、このウイルスは高温多湿を好む。今年は蒸し暑くなるのが早かったので、前倒しで流行しているのでは」とみています。

また、「新型コロナの流行により、ここ最近は免疫がついていない」というのも理由の一つにあるといいます。

森内教授に手足口病の注意点を聞きました。

【子どもの異変をチェック】
・食事は?
・水分は?
・おう吐は?
・体のどこかに発疹ができていないか確認をする
→口の中に発疹ができると食事や水分がとれなくなるので確認が重要に

【医師に相談した方が良い症状は】
・意識がもうろう
・食事や水分がとれない
・特に脱水症状に注意
→すぐに医師に相談を

■手足口病のウイルスにアルコール消毒は効果なし?予防法は?

ホラン千秋キャスター:
手足口病の場合は、どのように免疫がつくのでしょうか。

長崎大学大学院 森内浩幸教授:
手足口病は一度かかったウイルスには免疫ができます。しかし手足口病を起こすウイルスは何種類もあるため、また別のウイルスによって同じような病気を引き起こす可能性もあります。

ホランキャスター:
一度罹患したからといって安心はできないということですか?

長崎大学大学院 森内教授:
ひと夏に複数回かかる人もたまにいます。

井上貴博キャスター:
合併症のリスクはいかがでしょうか?

長崎大学大学院 森内教授:
一番怖いのは、飲んだり食べたりしにくくなることで脱水症状に陥ることです。また、まれに脳炎を起こすこともありますので、意識がもうろうとしたり、ひきつけを起こしたりするなど、何か異常な言動があったときは、すぐ医師に相談をしてください。

元競泳日本代表 松田丈志さん:
5年前に長女が手足口病にかかりました。しかし下の子どもたちは、かかったことがありません。予防法はあるのでしょうか。

長崎大学大学院 森内教授:
このウイルスは唾液や飛沫のほかにも、便の中に出てきてそれが口の中にまた入っていくことによって感染が広がります。

予防法は手洗いです。ウイルスがついた手で目、鼻、口などに触れるとウイルスは体に入っていきます。他の人といろいろなものを共有したあとや、食事の前はきちんと手洗いをしてください。

井上キャスター:
アルコール消毒は効果がありますか?

長崎大学大学院 森内教授:
残念ながらインフルエンザやコロナとは異なり、手足口病も、夏風邪のウイルスもアルコールで壊すことはできません。石鹸と流水でしっかりと洗い流してください。

南波キャスター:
手足口病は、大人が感染すると「高熱」「強い痛み」「強い倦怠感」などの症状が子どもより重くなりやすいそうです。

実際に感染した31歳の女性は「喉の周りが発疹だらけ。唾液を飲み込むたびに激痛。熱も下がらなかった」そうです。

夏の感染症といえば手足口病だけではありません。▼ヘルパンギーナは喉の奥に発疹、39度以上の発熱 ▼咽頭結膜熱(プール熱)は目の充血、39~40度の発熱といった症状があるそうです。

長崎大学大学院 森内教授:
夏風邪のほとんどは、十分な栄養と水分補給で、しばらくすれば治っていく病気です。ただいつもの風邪とは様子が違うと思ったら、すぐにかかりつけ医に相談してください。意識が朦朧としたり、ひきつけを起こしたりしていたら、迷わず救急車を呼んでください。

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<プロフィール>
森内浩幸さん
長崎大学大学院 教授 専門は小児科医
日本小児感染症学会理事長 日本ウイルス学会 理事

松田丈志さん
元競泳日本代表 五輪4大会出場 4個のメダル獲得
JOC理事 宮崎県出身 3児の父

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