旧優生保護法に基づき不妊手術などを強制されたのは憲法違反だとして、北海道の70代女性と80代男性(故人)の夫婦が国に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は、原告側の上告を棄却する決定をした。「旧法に基づく手術を受けたと認められない」として、訴えを退けた二審判決が確定した。4日付。裁判官5人全員一致の意見。

最高裁判所

 昨年6月の札幌高裁判決は「手術を受けたことを裏付ける客観的証拠がない」として、一審に続き、女性が不妊手術を受けたこと自体を認めなかった。  今月3日の最高裁大法廷判決は、旧法を違憲とし、国の賠償責任を認める初判断を示した。審理対象だった5件のうち4件で賠償命令が確定。残り1件は原告敗訴の仙台高裁判決を破棄し、賠償額算定のため審理を差し戻した。その後、2件の訴訟でも、国に賠償を命じた判決が確定した。  旧法下では1996年に差別的規定が削除されるまで、障害者ら約2万5千人が不妊手術などを受けたとされ、2018年以降、被害者ら39人が全国12地裁・支部で提訴した。(太田理英子) 

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