去年秋に楽天イーグルスから戦力外となったピッチャーがいます。かつては先発として年間8勝をあげた石橋良太さんです。いまはプロ野球界を離れ、新たな人生を歩み始めました。

ボールからパソコンマウスに持ち替えて

元楽天投手 石橋良太さん:
「まじで今仕事しています。戦力外になったぶりに仕事しています」

元楽天イーグルスのピッチャー石橋良太さん(33)です。ボールから持ち替えたのはパソコンのマウスです。

6月1日、石橋さんは自分のウェブサイトを立ち上げました。米や卵など農産物を販売するサイト「Minori(みのり)」です。4か月かけて準備を進め、この日、オープンにこぎつけました。ビジネスは初めての挑戦。自分がセレクトしたものを買ってくれるかドキドキです。

石橋良太さん:
「まだ(注文)ないな、まだないな。まだないんだよな」

サイトをオープンしてからおよそ20分後…。

石橋良太さん:
「おっ注文が入りました。ありがとうございます。すげー、びっくりした」

戦力外通告からおよそ8か月、この日、新たな人生を踏み出しました。

戦力外「覚悟はできていた」

2015年、社会人からドラフト5位で楽天に入団した石橋さん。同期はオコエ選手や茂木選手です。

梨田昌孝監督(当時):
「石橋選手には練習をビシバシとやってもらって、みなさんから愛されるように」

2019年3月、ロッテ戦で念願のプロ初勝利を収めると、先発ローテーションの一角を担いシーズンを通して活躍。150㌔超えの直球と変化球を武器にチーム2位の8勝を挙げました。

しかし、その後は結果が出せず、去年10月、戦力外通告を受けました。

石橋良太さん:
「正直(戦力外通告が)あるなというのは自分でも感じてたので、野球をしようかどうしようかではなく、仕事は何をしようか切り替えはできていた」

新たな挑戦、きっかけはリンゴ

野球はやり切ったと感じていた石橋さん、新たに挑戦したのが農産物の販売です。きっかけになったのがこのリンゴ。

石橋良太さん:
「ここのリンゴ園に4年前からリンゴ狩りをしに毎年シーズンオフに行っていて、こんなに美味しいのかと知ったのが始まりです」

6月14日、石橋さんは宮城県登米市を訪れました。向かった先は…。

石橋良太さん:
「僕の原点です。リンゴ園です。リンゴ農園です」

石橋さんが原点と呼ぶのがこちらの菅原農園。この日は、リンゴの木の摘果作業です。指導するのはリンゴ園の菅原富士男さん(71)。

石橋良太さん:
「知識も経験もない中で、飛び込むのはどうかなと思ったが、現役の時に現状維持しようと思ったことがあって、そこで自分で成長を止めちゃったのかなと思って。次に何かするときは常にチャレンジしようと挑戦し続けようと」

菅原さん、リンゴ園をやめようと思っていたが…

菅原さんを「もう本当第二の人生きっかけになった、きっかけをくれた人」と話す石橋さん。2人が出会ったのは4年前。菅原さんがリンゴ農園をそろそろやめようかと考えていた時期でした。

菅原農園 菅原富士男さん:
「滅多にこういうところに野球選手が来るというのはないもんですから…」

現役のプロ野球選手だった石橋さんの訪問を喜んだ菅原さん。その後、マウンドで活躍する石橋さんの姿に勇気をもらい農業を続けることを決めました。

石橋良太さん:
「本当にこの(農業を続ける)話しを聞いた時に、プロ野球選手としてうれしかったし、これからは菅原さんの力を借りて頑張っていきたい」

石橋さんのウェブショップには菅原農園のリンゴジュースもラインナップされています。

石橋良太さん:
「ただ単に僕も食べていたし、その裏では農家が頑張って農産物を作っているし、何かそれを伝えられないかな」

農家の想いを知ってほしい、そんな願いは商品名にも表れています。その名も「富想(ふそう)」です。

石橋良太さん:
「菅原富士男さんの富士男の富がこの字で、富士男さんの想い」

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