神奈川県警の巡査部長=休職中=が、暴力団組員から車のナンバー照会を依頼され、氏名などを教えていたことが分かった。組員の依頼の目的は、舎弟を襲った人物の特定だったが、この車の使用者は襲撃とは無関係な第三者だった。横浜地裁で12日にあった地方公務員法違反の罪に問われた組員の初公判で、検察側が冒頭陳述で明らかにした。

◆「第三者の氏名」を漏えい…依頼されて車の使用者を割り出す

 被告は稲川会系暴力団組員の男(36)。起訴状や冒頭陳述によると、2022年6月5日ごろ、何者かに襲われた舎弟から乗用車の写真を携帯電話で受け取り、「乗車している人物が犯人だ」と伝えられた。それを受けて、同月上旬から中旬、新潟県警から神奈川県警薬物銃器対策課に出向していた上野潤巡査部長(29)=同罪で罰金50万円=に「やったやつが知りたい」と電話し、職務上知り得た秘密を漏らすように唆したとされる。

神奈川県警のパトカー(資料写真)

 冒頭陳述で検察側は、上野巡査部長が「名目がいります。薬物捜査でいいですね」と依頼に応じていたことや、ナンバー照会した車の使用者は「舎弟を襲った人物とは無関係だった」と述べた。  被告は「唆したつもりはない」と起訴内容を否認した。

◆県警監察官室「答えない」

 県警監察官室は本紙の取材に、被告側がその車の使用者と接触したかどうかについては「答えない」と回答した。  県警は2月、上野巡査部長を同法違反容疑で逮捕、発表したが、漏えい相手を「知人」と説明し、組員であることを伏せていた。(米田怜央、森田真奈子) 

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