東京都渋谷区は3日、渋谷駅周辺での路上飲酒を通年で禁止する条例案を、同日開会の区議会定例会に提出した。区はこれまで、10月末のハロウィーンや年末年始の時期に限って、駅周辺の路上飲酒を禁止する条例を制定していた。

◆10月施行へ 罰則は設けず

コンビニ店前の路上で飲酒する人たち=2023年9月1日、渋谷区で

 新条例に伴う規制時間は午後6時~翌日午前5時を想定。対象地域は、現行条例で規制されている渋谷駅周辺エリアを拡大する方向で検討している。罰則は設けず、10月1日施行を目指す。区によると、「騒がないで」「ポイ捨てしないで」といった注意しかできなかったが、条例により「飲まないで」と直接伝えられるようになるという。  渋谷駅周辺では、新型コロナウイルス感染症が5類に移行した昨年5月以降、外国人観光客らが増加。区は昨年9月から毎日、夜間から翌朝にパトロールして注意を呼びかけてきたが、週末の金、土曜と祝日前日に注意を受けた人は3月の平均107.5人に対し、4月は158.4人と増えていた。いずれも7割が外国人だったという。

◆「ルール明文化は重要」

 長谷部健区長は3日の区議会定例会で、「迷惑路上飲酒を起因とするゴミのポイ捨てや騒音、通行妨害などは、街の大きな問題となっている」と説明した。  立教大観光学部の西川亮准教授(観光政策専門)は「円安などでインバウンド(訪日客)が増える中、行政がルールを明文化し、伝えることは重要」と評価。外国人にも理解してもらえるよう、禁止にする理由なども伝えることが求められる、と指摘する。(中村真暁) 

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。