6月3日朝の地震。近畿や東北は最大震度2でしたが、どういうわけか緊急地震速報は、近畿から東北地方にかけての広い範囲で発表されました。

 その理由について気象庁は、「地震が発生してから5.3秒で、マグニチュード7.4と推定し、広い地域に緊急地震速報を発表した。かなり大きく評価をされてしまったということになります。」と説明しました。

 マグニチュードの過大な推計、一体何が起きていたのか、MBSの気象災害担当で『人と防災未来センター』の特別研究調査員でもある福本晋悟記者の解説です。

P波とS波の差

――まず、緊急地震速報とは、どういうものなのでしょうか?

 (福本晋悟記者)地震波というのはいくつか種類があります。その中のP波とS波という波の性質の違いを活用して緊急地震速報というものを運用しています。P波(プライマリーの頭文字:最初の波)は、速度は速いんですが、揺れは弱いもので、秒速約7キロで進みます。

 対して、速度は遅く、秒速4kmで進み、人間がよく感じる大きな揺れをもたらすのがS波(セカンダリーの頭文字:第二の波)です。秒速7キロと4キロの差を利用して地震が発生した震源の場所から地震計のある場所まで、まずP波が届いた段階で「これは地震が大きくなるぞ」と判定した場合、S波が届くまでに出す情報。それが緊急地震速報となります。

震源からの距離によるが「身構える時間が用意される」

――体感で揺れを感じた後に緊急地震速報が出ることもあり得ますか?

 あります。震源と今いる場所が近い場合、今日の地震で言いますと能登半島の方にとっては、震源と距離が近くP波とS波の速度差が7キロと4キロとありますけども距離が短い。従って数秒差、場合によってはほぼ同時になる場合は、緊急地震速報が間に合わない可能性もあります。

 ただし震源から距離の遠い場所だと、数十秒の時間差がありますので身構えたり、机の下に入ったりすることが可能な時間が用意されているということになります。

地震計は計4300か所に増えた

――重要な役割の地震計は日本各地に配置され約1700か所にあります。海底にも地震計が設置されています。

 1700という地震計の数は、あくまで緊急地震速報に使える数でして、実は震度などを観測するもの含めると合計4300か所にあります。阪神・淡路大震災当時は全国150か所しかなかったんですけども、その後備えを進めていくために、これだけの数になりました。海底にも地震計が設置されていて、今後の南海トラフ地震のように、津波を伴う巨大地震を早く察知し観測するために、和歌山県沖などに設置されています。

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