紅茶を作る際に出る端材を使ってあるものを製造、販売している工房があります。使われていない素材に新たな価値つけて商品化する取り組みを取材しました。

紅茶製造で出る「端材」

宮城県石巻市で紅茶などを手がけるファーム・ソレイユ東北です。この工房では年間320キロの紅茶を生産します。

ファーム・ソレイユ東北 日野朱夏さん:
「ここのふるいにかけると、ここで静電気が起きて端材である“ふわ”と“棒”と、普段出している紅茶に分かれて最終的にこのように分かれます」

紅茶に入ってしまうと雑味になる、茶葉の繊維「ふわ」と茎の部分である「棒」。この端材は、およそ16キロも出てしまうといいます。端材とはいうものの香りは紅茶そのもの。端材を提供している日野さんたちは捨てることができず保管していたといいます。

ファーム・ソレイユ東北 日野朱夏さん:
「(端材でも)香りは本当に紅茶に、通常出している紅茶に負けないくらいいい香りがするものです。手をかけているものが無駄なものになってしまうっていうのはとても悲しいと感じていたので、何か生まれ変わらせたいという気持ちはとてもあった」

アロマを製造する工房で…

石巻市内にある工房グリーディー、杉やラベンダーといった材料から香り成分を抽出しその成分をブレンドして40種類以上のオリジナルのアロマを製造しています。

作業スペースの一角に、美容成分の抽出をしているという黒い液体がありました。

グリーディー 浜出理加代表:
「お茶の成分で主にポリフェノールなどなんです。お肌にすごいいい成分」

抽出液に漬け込まれたのは、ファーム・ソレイユ東北の工房から出た紅茶の端材です。およそ2か月間、漬け込み、ポリフェノールなどの美容成分を抽出しています。

紅茶の端材がボディーソープに変身

このエキスは、ボディーソープに使用され、仙台市内の店舗で販売されています。

グリーディー 浜出理加代表:
「(紅茶のエキスは)いわゆるお肌のキメを整えてくれるっていうような作用があるので、ボディソープとしてはぴったりだなと」

きっかけはボランティアだった

ボディーソープの製造販売を行うグリーディーの浜出理加さん。紅茶などの端材を使って商品開発を行っていますが、きっかけは石巻市雄勝町にあるローズガーデンでのボランティアだったといいます。

グリーディー 浜出理加代表:
「自分たちは、バラであったりとかハーブとか、そういったものを育てることはできるんだけれども、最終的には枯れてしまうとか、枯れた後は裏の山に(捨てる)とか、という話の中で、これを何とか活用できないかと」

グリーディーでは、雄勝のローズやハーブを使用したアロマスプレーや、秋保でワインづくりの際に出てしまうブドウの「つる」を使ったディフューザーなども販売しています。

紅茶の端材を使ったボディーソープは5月から販売を始めたばかりの新商品。実際に試してみた人は。

客:
「結構濃厚な手触りっていうか。最近よくSDGsって言われていると思うんですけど、こういう商品が増えていけばいいなと思います」
「我々はいい商品を目にしているけれど、見えないところでそういう端材とかが発生しているんだと知りました」

紅茶を作る日野さんは…

端材を活用した商品が開発されたことは生産者側にとっても励みになると言います。

ファーム・ソレイユ東北 日野朱夏さん:
「みんなとても喜んでいますし、まさかボディソープになるとはとみんな驚いています。ボディソープを通して、石巻とか宮城にはこういう宝があるんだということをみなさんが感じていただけたら嬉しい」

ファーム・ソレイユ東北 日野朱夏さん

生産者の思いを汲み、使われない素材に新たな価値をつけて商品として世の中に送り出す。浜出さんは、これからも無駄のない商品化に挑戦し続けたいといいます。

グリーディー 浜出理加代表:
「使われていないものに新しい価値っていうのを生み出して、生産者さんたちの思いをちゃんと繋いでいけるようなものづくりをしていきたいなと思っています」

グリーディーでは、ボディーソープのほかに登米産の杉の間伐材から抽出した香り成分を使ったシャンプーとコンディショナーも販売しています。県内の豊かな天然素材を無駄にしないという考え方は、実際に商品を使う私たちも大切にしていきたいと思います。

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