現在放送中の朝ドラ「虎に翼」の主人公・猪爪寅子のモデルで、日本で初めての女性弁護士、判事、そして裁判所の所長になった三淵嘉子さん
1972年に女性として初めての裁判所長に就任したのが新潟家庭裁判所でした。
着任後にBSN新潟放送のインタビューに答えていた三淵さん。
カメラの前で語ったこととは…?

―所長、新潟は初めてでしょうか?

はい、初めてでございます。

―どんな印象というか…まだ着任して早々ですけどね。

まだね、着任してあちらこちらご挨拶に回ってるぐらいですから、新潟市のまちのこともよくわかりませんけどね。
ただ私初め、新潟へ行けって言われたときに、小さいときから新潟の、新潟県人っていうんですか、新潟の人たちっていうものに対しては非常にもう誠実な信頼できる人たちなんだっていうふうに頭の中に入ってましたからね。そういう意味でとても嬉しかったです。

―ところで女性所長としては全国で三淵さんが初めてだということなんですけれども、抱負なりををお聞かせ願いたいんですが

いや、あちらこちらで抱負って聞かれて、私も少しあんまりそういうことを喋る元気がなくなってきてるところなんですけど、何て言いますか、家庭裁判所っていうのはどうしても民衆に親しまれる裁判所じゃなきゃいけないと。今まで考えている裁判所のイメージとは全然違うものなはずなんですね。
新潟に来て伺ってみて、まだそういう意味ではもっともっと社会の中に溶け込んでいって、社会の一般の方から本当に自分たちの日常の生活に関係のある事柄について相談に乗ってもらえるところだというふうな裁判所に、これからしていきたいというふうに思うわけです。

―それから女性であるということのハンデキャップっていうか、そういうものは、判事さんにはおありなんですか?

女性裁判官の任官問題なんかが、ずいぶんここのところやかましく言われておりますけどね。それは例えば家庭を持っているとか、転勤の問題っていうことで問題があるのかもしれませんけど、裁判官の仕事っていうのは本当にね、男の人と女の人の間に何も差別がありませんし、私も裁判官になって今まで自分が女性裁判官で関係あるからっていうことで不愉快な思いをしたり、あるいは何か差があるようなことを感じたことは全く私ね、そういう点では今の現在の日本の社会では裁判官の仕事ってのは、本当に特に男女全く差のない仕事として受け入れられているということが言えると思うんです。
ですから、自分が所長になりましてもね、別に初めてってのは今までそれだけ女の婦人の裁判官の歴史が短いというだけで、特別あの女性だからということに私自身は何もこだわりを感じてません。

―現在の少年非行問題についてはどんなふうにお考えなのでしょうか。

やっぱり戦後、非常に日本の社会がね、経済的にも不安で荒れていた時代と違って
非常に今、落ち着いてまいりましたよね、この社会そのものが。ですから、少年事件にももうそれは当然映っていましてね。事件数もここのところ非常に減ってきていますし、それから時々新聞なんかで突拍子もないような凶悪な犯罪が少年が犯したということで、少年の非行の凶悪化っていうことを言われますけども、実際に全体の非行少年の問題を見てみますと、凶悪犯というのも非常に減ってきているわけでです。

ただね問題は、そうなってまいりますと、普通の社会の、普通の家庭のお子さん方が、やっぱり非行を犯しやすい状態にあるっていうことが言えると思うんです。
昔なら、非行少年ってのは特別のね、なんかあの人たちのように思われていたのが、今はね私ども合っております非行少年でも普通の少年たちとちっとも変わらないです。

ただ、そういう人たちが非行を犯してくるというところに、やっぱり社会全体、家庭全体にね、そういう非行を発生させるような問題があるということがやっぱり、私考えなきゃことだと思うんです。そういうことから考えますとね、やっぱり家庭を含めて社会全体がやっぱり子供の問題を本当に真剣に考えて、日本の将来を担うその少年たちのために、その社会がどういう姿勢をとらなきゃいけないかっていうことを考えなきゃいけないと思うんですよ。

それから家庭に言いたいことはね、やっぱり私は少年たちを見てみますと、非常に何て言うのかしら自制力のない子供が多い。それから自主性のない子供が多いっていうことは、これはやっぱり家庭の教育にやっぱり一つ問題がそれは幼児の教育に問題があると小さい間にやっぱりいいことと悪いことを許されることを許されないことのけじめをきちんとつけて、そして自分である程度自制がきちっとできるような教育、これはやっぱり家庭教育だと思いますね。

それをもう少ししっかりしないと、いくら価値判断が大人と子供と違うといっても、子供なりにそれは良くないことだったら、やってはならないというそういう習慣なり性格ができていないと問題が起きてしまうだろう。

―拝見しますと、気安く話しかけられるようなおばさまというふうな感じがするんですけれども、健康法なんかは特におありですか。

あのね、もう私がちょっと風邪をひくと鬼のかく乱だって言われるぐらい、本質的に非常に丈夫なんです。ですから、やっぱりそのせいか、少し働きすぎて過労になるということがありますね。ですから、この頃はもう、くたびれたらすぐ休んで寝るというふうにしております。忙しくてもうスポーツもできないんですが…

―水泳なんかもおやりだっていうふうに…

水泳は小さいときから好きで、今でも毎年必ず1回は泳いでます。

―新潟の海岸も去年はジュリアナ号の事件(脚注:1971年に新潟市沖で発生したリベリア船籍の大型タンカー ジュリアナ号の座礁・原油流出事故)がありまして、汚染が心配されましたけど油の心配もなくなって大変綺麗だということです。

そうですか。官舎から400mぐらい行くと、もう海水浴場だそうですので、今年の夏は大いに泳ぎたいと思ってます。

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