北海道函館市の夏の風物詩「五稜郭祭」。55年続いた歴史ある祭りにも、人手不足の波が容赦なく襲っています。

当時の衣装をまとった「維新行列」。

土方コンテスト
「新鮮組副長 土方歳三…」

それに、なりきりナンバーワンを決める「土方歳三コンテスト」。「箱館五稜郭祭」の2つの目玉イベントが、今年で見納めにりました。

12年にわたり、祭りを仕切ってきた野寺正樹さんです。

箱館五稜郭祭事務局 野寺正樹さん(70)
「1回立ち止まって、この形でいいのかどうか。参加者、応援する人、全部洗い直して…」

「箱館五稜郭祭」は1970年、五稜郭周辺にある商店街などの有志によって始まりました。

江戸から明治へ時代の移り変わりを決定づけた「箱館戦争」を、マチを使って再現します。

いまは“函館の顔”になった「五稜郭」ですが、55年前は違ったといいます。

箱館五稜郭祭事務局 野寺正樹さん(70)
「五稜郭は、市民にあまりにもないがしろにされていて、こんなに歴史的な大きいものだと誰も…。われわれが小学校のころは、運動会場としか思っていなかった」

五稜郭の歴史や価値を見直してほしいと、祭りは始まりました。

祭りの主役は「箱館戦争」で、戦死した土方歳三。

土方歳三の人気にあやかり、“なりきりコンテスト”を開催してきましたが、今年の参加者は11人。

最盛期は30人以上が参加しましたが、ここ数年は10人以下が続いていました。

“維新行列”も、1000人以上いた参加者が、いまでは600人ほどに…。

その一方で、道路使用の申請や人繰りなどの準備に追われる運営側の負担は、昔と変わりません。開始の30分前にも…。

箱館五稜郭祭事務局 野寺正樹さん(70)
「迎えに行くように指示しているよ。来てない?」

参加者を出発地に送るバスが、まだ来ていないという連絡でした。

バスからタクシーに切り替え、ギリギリ開始に間に合い、維新行列は無事終了。

運営側も人手不足で、同じ規模での「五稜郭祭」の開催は限界にきていますが、野寺さんは「アイディア次第だ」と、祭りの将来を悲観していません。

箱館五稜郭祭事務局 野寺正樹さん(70)
「パレードや土方コンテストはなくなるけど、また別なバージョンアップした形でやっていきたいと思う」

規模は縮小しつつも、より面白く。来年の「五稜郭祭」が新たな一歩となります。


担い手不足の影響を受ける祭りは、北海道内でほかにもあります。

北海道十勝地方の陸別町の「しばれフェスティバル」は、実行委員会の人数が減るなどし、今年2月は中止となりました。
来年2月の開催を目指し、体制づくりを行っているということです。

また、北海道北見市の「きたみ菊まつり」は菊をつくる人が減ったため、今年はは秋に行われるほかの2つの祭りと集約した形で、10月に「北見秋祭」として開かれます。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。