川崎市川崎区の社会福祉法人「母子育成会」は30日、深瀬亮一前理事長(67)が20年以上にわたり、計8億4690万円を私的流用していたことを認めたと発表した。法人は4月末、業務上横領容疑で深瀬前理事長に対する告訴状を神奈川県警川崎署に提出した。

◆「かっこつけたかった」総額10億円超か

会見で前理事長による不正行為を説明する千葉新也・新理事長(左)ら=30日、川崎市幸区で

 この日会見した千葉新也新理事長によると、昨年3月に法人の常務理事に就任した千葉氏は不明朗な会計処理に疑問を抱き、法人による自主調査を実施。深瀬前理事長による不正流用を確認した。2002年以降、法人の口座から雑費支出として引き出したり、出張旅費として経費に計上したりした金を、私的な旅行や知人女性への高級品のプレゼントなどに充てていたといい、「かっこつけたかった」と話しているという。  法人は今年3月末の理事会・評議員会で深瀬前理事長を解任した。千葉氏は会見で「政治家への政治献金や競走馬の購入などもしており、不正流用の総額は少なくとも10億円をくだらないとみている」と述べた。  川崎市も法人からの相談を受けて、昨年10~12月に法人への監査を実施。深瀬前理事長の不正が疑われる会計処理があったとして、今年3月に法人に対し、会計の適正な処理などを求める文書指導を行った。  深瀬前理事長の父は元川崎市助役の故深瀬幹男氏。法人は川崎市や横浜市などで二つの特別養護老人ホームと五つの認可保育所を運営している。(北條香子) 

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