1月1日、元日に北陸地方を襲った能登半島地震からあさって6月1日で5か月です。能登半島地震についてお伝えします。

(記者)「今月、地震で震度7を観測した石川県を取材しました。今も道路や多くの建物が壊れたまま残っていて、街のいたるところで仮設住宅の建設が急ピッチで進められていました」

(キャスター)「住民の方々の暮らしの様子は?」

(記者)「石川県の輪島市では3割の住宅が全壊しました。避難所では5月の今の時期でもストーブがたかれていて、仮設のトイレや風呂に入り段ボールベッドで寝る日々を5か月続けている人たちがいます。被災地の今と現地の人々の思いを取材しました」

鹿児島から飛行機を乗り継いでおよそ5時間。今月13日、私は石川県に入りました。

(記者)「対向車線はアスファルトが大きく崩れている」

1月1日午後4時10分、石川県能登地方を震源とするマグニチュード7.6の地震が発生。震度7を石川県の志賀町や輪島市で、震度6強を七尾市、珠洲市、穴水町、能登町で観測しました。

(記者)「あちらの山では土砂崩れが起き、茶色の土がむき出し、家が飲み込まれている」

輪島市市ノ瀬町では地震により山が崩れ、土砂が住宅地に流れ込みました。2人が亡くなり1人が今も行方不明のままです。

(住民)「座ってここで見ていた。恐ろしい変な音を立てて、不気味に崩れた」「怖かったが人生観が変わった。物も何もいらなくなった」

石川県ではこれまでに、直接死が230人、災害関連死が30人、3人が行方不明です。

亡くなった状況がわかっている人の8割が「家屋倒壊」によるもので、死者の多かった石川県の輪島市と珠洲市では建物の3割が全壊しました。

(黒杉将之さん)「今まで見た光景とは全然違ったので戸惑った」

輪島市で出会った黒杉将之さん(32)です。地震で自宅は半壊しました。働いていたスーパーは全壊。店との契約が切れたため現在は無職です。

築56年の自宅で両親ときょうだい、祖母の6人で暮らしていた黒杉さん。家族で正月料理を食べたあと、うたた寝をしていたとき突然の揺れに襲われました。

(黒杉さん)「寝てたら緊急地震速報が鳴って、けっこう揺れがひどくて気分が悪かった」

倒壊のおそれがあるため中に入ることはできません。あの日干した洗濯物がそのまま残されていて、時間は止まったままです。

Q.ここでまた生活したい?
(祖母・すみ子さん)「できればしたいけれど、これだけ家がめちゃくちゃだと」

500人あまりが暮らす集落では、建物の倒壊で正月で帰省中だった3人を含む5人が亡くなりました。

黒杉さんの家族は地震のあった1月1日から、近所の公民館で避難生活を続けています。

(黒杉将之さん)「避難当時は電気もこないし水道もなくて不便だった。水道が使えなかったときはトイレに行くのも大変だった」

公民館には正月で帰省中の人など、集落の人口を上回る500人以上が押しかけました。

(避難所の代表 森裕一さん)「津波が来る心配もあり、とるものもとりあえずみんなここに来た。寒さを防ぐ毛布も全然なかったし、食べ物の備蓄もないし、水も多少はあっても焼け石に水。十分な備えはどこもできないと思う」

石川県内では今も250か所の避難所でおよそ3300人が避難生活を続けていて、こちらの公民館でも黒杉さん家族を含む20人が生活しています。

冬場は最低気温が0度を下回る石川県。5月の今の時期もストーブをつけています。水道はまだ復旧しておらず、3月まで風呂は1日おきでした。

(祖母・すみ子さん)「家に帰れれば自由はきくが、思うように(家は)直らない」

食事はボランティアが炊き出しに来る日以外は支援物資のカップラーメンや菓子パンです。

(黒杉将之さん)「食事も最初は偏っていたので、健康管理が難しくてそこが心配」

輪島市門前町は2007年の地震で最大震度6強を観測しました。17年前、当時、中学生だった黒杉さんも被災。自宅が一部壊れました。

(黒杉将之さん)「17年前に大きな地震があって、もう来ないだろうと思っていた。自分の考えは甘かった。1回大きな地震があったらその後はないと考えない方がいい。いつ起きてもおかしくない」

鹿児島県では、鹿児島湾直下などで能登半島地震と同じ最大震度7の地震が想定されています。元日の地震から5か月。被災地では日常が戻らない今と向き合い生活している人たちがいます。

(キャスター)「復旧や生活再建には時間がかかるということを改めて感じました」

(記者)
「黒杉さんをはじめ被災した方たちは『ひとたび地震が起こるとこういった被害が出るということ。避難生活を強いられる可能性があるということをイメージしておいてほしい』と話していました」

「黒杉さんの集落でも仮設住宅が完成し来月から順次移っていく予定ですが『避難所ではみんなで助け合えたが仮設住宅ではそれぞれが自立しなければならず、高齢者の一人暮らしも多いので心配』との声も聞かれました」

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