旧優生保護法の下で強制不妊手術を受けた原告らが国に賠償を求めた裁判で、29日、最高裁で弁論が開かれ、札幌市の原告の男性が意見陳述しました。

 札幌市の小島喜久夫さんら原告は、1948年に成立した旧優生保護法の下で、強制不妊手術を受けさせられたとして、全国各地で国に損害賠償を求める訴えを起こしています。

 このうち、札幌、仙台、東京、大阪の高等裁判所で判決が出され、上告された5件について、29日、最高裁の大法廷で弁論が開かれました。

 法廷で小島さんは「子どもができていれば人生は変わっていたと思います。どんな判決でも私たちの人生は元に戻りません。せめて国が間違っていたことを認めてください」と意見陳述しました。

原告 小島喜久夫さん(82)(原告の報告集会)
「裁判官はみんな私の顔をじっと見ていました。私の思いを絶対に聞き入れてくれると思います」

 最高裁が弁論を開き、判断を示すことは当たり前のことではありません。

 年間数千件ある上告申し立てのうち、最高裁が判断を示すのはそのわずか1%と言われています。

元札幌地裁裁判官 内田健太弁護士
「(日本の法制度では)憲法違反がある場合にしか上告できない規定になっている。基本的な人権がこんなに明白に侵害されている事案は珍しいですから、裁判所がしっかりと判断を示す必要があると考えたのだと思います」
「弁論が開かれるということは、高裁の判断を変える可能性が高い。今回の弁論についても、救済のための一つのプロセスであると期待している」

 5つの高裁判決は、いずれも旧優生保護法が憲法に違反していたと認めていますが、札幌を含む4件は国に賠償を命じた一方で、1件は手術から20年以上たち、賠償を請求できる「除斥期間」を過ぎたとして原告の訴えを退けています。

 弁論を踏まえ、最高裁がどのような統一判断を示すのか注目されます。

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