気候が良くなって週末ドライブに欠かせない「道の駅」。実は今、変わりつつあります。

 新たなオープンや大規模なリニューアル。地域の魅力を発信する「道の駅」から今、目が離せません。

来場者
「飲食店が想像していたよりいっぱいあって、おいしそうな所ばかりだったので食べるのが楽しみ」

 そして、新たなステージへ…。

道の駅しかべ間歇泉公園 シカベンチャー 阿部成史(なるひと)代表
「もともといた地元メンバーと外からの移住メンバーがうまく力を合わせてプロジェクトを推進している」

 変貌をはじめた「道の駅」をもうひとほりします。

 北海道南部の鹿部町。建物5階に匹敵する=高さ15メートルまで噴き上げる間欠泉が人気の道の駅「しかべ間歇泉公園」です。
 5月、町の魅力が詰まった新たなメニューが誕生しました。

道の駅しかべ間歇泉公園 奥谷祥代店長
「こちらが『しかべ焼き』になります」

佐々木賢ディレクター
「これが新メニュー?見た目は、たこ焼きのように見えますけども…、このままいただくんですか?」

道の駅しかべ間歇泉公園 奥谷祥代店長
「お隣の『出汁コーナー』がございますので、そちらでお出汁をかけて召し上がっていただきます」

 隣の飲食スペースで、セルフサービスで好きなだけ出汁を注ぎ、ひたひたに浸して、いただきます。

佐々木賢ディレクター
「すごい!アツアツです!衣はすごいふわふわしてて、中に、ホタテ入ってますね。(具材の中にホタテと水ダコ)出汁の味も染み込んでいて、これは本当においしいです」

道の駅しかべ間歇泉公園 奥谷祥代店長
「今年で間欠泉が発見100周年となるのに合わせて『しかべ焼き』を考案した」

 兵庫の名物「明石焼き」をオマージュしたという「しかべ焼き」。
 具材のホタテや水ダコ、注ぐ出汁のコンブもみんな、鹿部町の特産です。

道の駅しかべ間歇泉公園 奥谷祥代店長
「やっぱりホタテだったり、水ダコの味を引き立たせるために、コンブの味を強調したかったというのがあるので。明石焼きを最初は作ってたんですけれども、鹿部の特産品を生かすように、どんどん配合などを変えていって、作り変えたという感じ」

 1993年に一般道の休憩施設として生まれた「道の駅」。
 道内では、札幌近郊の中山峠など14か所で始まり、その後の急速な拡大で競争の時代に入りました。

 鹿部町の道の駅も、2016年の開業以降、来場者数や売り上げはだんだんと下がっていきました。

道の駅しかべ間歇泉公園 シカベンチャー 阿部成史代表
「(開業)当初は、いわゆるバズるとか、そういうことはないのかなと」

 運営会社の代表、阿部成史さん。
 5年前、宮城県から移住し「道の駅」の運営に携わってきました。

 新たな取り組みのひとつが、「WEB来店」。
 オンライン会議システムを使って、直接スタッフがやりとり。地域の魅力を伝えて商品を販売します。
 さらに、道の駅で販売する「松前漬け」なども開発、「ふるさと納税」の返礼品にもすることで相乗効果を生み出しています。

道の駅しかべ間歇泉公園 シカベンチャー 阿部成史代表
「ふるさと納税も当然、鹿部町の特産品をラインナップするものなので、道の駅でお客さまに接客するのと同じ心持ちで、ふるさと納税で全国の皆さんに紹介している。ふるさと納税をきっかけに、実際に道の駅に来た人もいるし、本当にお互いに良い効果ができてるなと思う」

 一方、こちらは7年前、十勝の士幌町にオープンした道の駅「ピア21しほろ」です。
 地元も食材を使った、農家が経営するこだわりのレストランが自慢です。

 目指しているのは「日本一町民に必要とされる道の駅」

道の駅ピア21しほろ 石川華瑠菜さん
「例えば士幌に友だちが来たときに、気兼ねなく使ってもらって、帰りに士幌らしいお土産を買って、一緒に帰ってもらえるような空間があってよかったねと思ってもらえるように工夫をしている」

 さらに、客が減少したコロナ禍を逆手に取り、始めたことが…。
 講師を務める、尾崎淳さん。有名ホテルの元人事部長で、3年前から人材育成の研修を行っています。

道の駅ピア21しほろ 尾崎淳さん
「一般的なリーダーシップ研修とかやるよりも、今日やったような(話せる)場を作るのは、すごい中心としてやっている。お互いがお互いの考えていることを知って、その背景ってどういうことが起きているかを、話せる場はすごい組織開発的に大事なことなんですね」

 研修はパートの人たちにも行い、その成果が今、形になりつつあります。

道の駅ピア21しほろ 調理補助担当 舟山美幸さん
「これ『しほろ通信』といって、毎月書いているけど、スタッフのみんなが『よかったね、今月の』とか、そういう言葉もうれしくて、売り上げにもつながったりするので、(デザインを)前職でやっていたわけでもないんですけど、やりたいを叶えてくれる会社で、本当ありがたいなっていうのはあります」

道の駅ピア21しほろ atLOCAL 堀田悠希代表
「これからはここで働くスタッフの人柄だったりとか、そういうところにも着目して楽しんでもらいたいなと思っています」

 士幌町の道の駅ピア21しほろ、その生き残り策がユニークなんです。

 観光客だけではなく、地元の人たちを積極的に取り込もうとしています。
 その作戦が、「全国をテーマにした週替わりメニュー」です。
 士幌町は、農業地帯なので、この時期、なかなか旅行に行けません。
 そこで、旅行気分だけでも味わってもらおうと週替わりで、南から各県のグルメを提供しているんです。  

 1993年に、ドライバーの休憩施設として始まった「道の駅」ですが、現状としてこんな課題もあります。
▼施設の老朽化、維持管理費の確保
▼道路事情の変化、近隣直売所との競合
▼農家の高齢化で農作物が減少

 30年が経ち、社会の変化による課題も浮かんできています。
 1月の能登半島地震では、「防災道の駅」に500人以上が身を寄せた例もありました。
 これからの道の駅は時代のニーズに合わせて、変化していかなければならないのかなと思います。

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