食欲をそそりますよね。特製の中太麺の焼きそばが看板商品で、津軽百年食堂にも選ばれたのが青森県平川市尾上の「大十食堂」です。

3月末で閉店しましたが、このほど、黒石市で再出発しました。その決断には、常連客からの思いもよらない提案がありました。

「就活しないといけないと思っていた矢先に…」 老舗の味“復活”の物語

香ばしく仕上げられた焼きそば。この独特な食感と甘辛い味を求める人が通い詰めています。

来店客
「おいしい。うまい!」
「変わらずおいしいです」

この焼きそばを提供しているのは、黒石市の中町こみせ通りにある「焼肉逢春」で、4月22日からランチ限定で始めました。きっかけとなったのは、西谷豊さん(65)が働き始めたことです。

焼肉逢春(大十食堂元店主) 西谷豊さん
「就活しないといけないと思っていた矢先に、福原社長が『豊、ここでやってくれないか』と。コメじゃないけど青天の霹靂でした」

西谷さんはもともと、平川市尾上地区で大十食堂を営んでいました―。

津軽百年食堂 愛されてきた“トリプル炭水化物”

大十食堂は、明治33年・1900年に創業した老舗で西谷さんは4代目。
「焼きそば」や「中華そば」は高い人気を誇り、なかでも、ラーメン・おにぎり・焼きそばがセットになった“トリプル炭水化物”を食べられる『Aセット』は、その見た目のインパクトもあり、たびたび話題を集めていました。店の歴史・味はもちろんのこと、多くの名物もあったことで、地域からも県外の人たちにも愛されてきた大十食堂ですが、店は2021年に従業員の高齢化などで閉店しました。

現在も注文可能な「焼きそば+ミニ中華」のセットメニュー(税込み1000円)             平川市に店があった時に販売されていた『Aセット』はここに「おにぎり」も付いた          『トリプル炭水化物』セットとなっていた

その後、食堂は近くの温泉施設で再開しましたが2024年3月に店を閉じることになり、西谷さんも復活は諦めていたといいます。そして、第二の人生のために大十食堂の店舗をリフォームしようと思っていた矢先―。転機が思いもよらない形で訪れます。

リフォームの相談をしたのは、もともと店の常連だった福原真一さんです。福原さんは住宅関連会社だけではなく焼肉店も経営していました。

「またやりたいのであればうちを提供する」思いもよらぬ形での転機

焼肉逢春を経営する「梍」 福原真一社長
「豊さんが辞めるけど、またやりたいのであればうちを提供するってことで単純にそれだけで。飲食のほうでは大先輩ですので教わることが多々あると思うので」

焼肉店「逢春」の店先に「大十」の文字を掲げて再出発が始まりました。

稼働しているのは、西谷さんが半世紀以上愛用してきた製麺機です。この機械で作った麺を手もみすることで、独特のコシとちぢれを出します。さらに、焼きそばを作るときにも味の決め手として「焼き干し」からとった特製の出汁を使い、仕上げます。

焼肉逢春(大十食堂元店主) 西谷豊さん
「ちょっといま固そうに見えるけど、これがちょうどいい。水分吸って味も吸って絶対味と風味が上がる」

河村庸市キャスター
「これぞ大十食堂のやきそば!コシのある麺に、まろやかで絶妙なソースがよく絡んでおいしいです」

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