今シーズン大苦戦の熊本ヴォルターズ。レギュラーシーズンは60試合を戦いますが、12月8日現在、21試合を終えて3勝18敗。過去の成績と比べても、優勝した時は勝率7割5分でしたが、今季は勝率が歴代9シーズンで最も低い1割4分3厘です。

なぜ今シーズンはここまで勝てないのでしょうか?その理由をヴォルターズの元キャプテンとともに分析します。

7チーム中6位…ブースター・選手は複雑な思い

本村亮輔キャプテン「B1自力昇格がラストチャンス。今季負けてしまったら悔やんでも悔やみきれない」

シーズン開幕前の目標はもちろんB1昇格。しかしシーズンの3分の1を終えて、ヴォルターズはB2西地区7チーム中6位。B1昇格を争うプレーオフ進出圏内の3位やワイルドカードも遠い状況です。

これには、チームを応援するブースターも複雑な思いを抱えています。

ブースター「諦めてたところはある」「(負け続けて)悔しかった」「まだ(観戦した試合が)0勝3敗なので、きょうこそは勝ってほしい」

もちろん、選手も同じ思いです。

山本翔太選手「どうやったら勝ってブースターを喜ばせられるんだろう、どうしたら勝てるんだろうと考えた日はたくさんありました」

なぜ勝てない?元キャプテン

なぜ、今シーズンはここまで勝てないのか?自身が付けていた背番号7がヴォルターズの永久欠番となり、今はBリーグの試合で解説なども行う小林慎太郎(こばやし しんたろう)さんに聞いてみました。

小林慎太郎さん「まず1つは『得点力不足』。特に日本人選手が点数を取れなかった事が大きい。それと『リバウンド』。この2つが大きな要因なのかなと思っています」
「(2018ー19季に)西地区優勝したシーズンと、戦力にそんなに大きな違いはないと思います」

ただ、現在ヴォルターズは主力の外国籍選手2人、ジャメール・マクリーン選手とタイラ・ーラム選手がケガで離脱している状況です。それとは別に、『勝てない理由』があると言います。

【勝てない理由その1】得点力不足

小林さん「点が取れるのはたまたまじゃなくて、『期待値』の高いショットが打てるから得点が伸びていく」

小林さんが挙げたのは、1本のシュートを放った時にどれだけの得点が期待できるかを表した「期待値」というデータ。(※バスケ経験5年以上の選手のデータ)

例えば、相手にマークされた状態で放つ3ポイントシュートは平均的に成功率10%のため、期待値は『0.3得点』。

一方、相手にマークされずに放った3ポイントシュートの期待値は『0.9得点』と、相手にマークされた状態でのシュートとノーマークのシュートでは3倍の差があります。

つまり、例えトップ(リングの正面)の位置でパスを受けた選手でも、マークされた状態でシュートを打つよりコーナー付近にいる「相手のマークがない選手」にパスをしてシュートを打つ方が、得点に繋がる期待値が高いと話します。

小林さん「チェックされた3ポイントシュートを打たなければいけない。苦しいですよね」「Bリーグに入った選手はある程度シュートは入ります。より効率の高いショットをずっとできるかどうかにある、勝利の鍵は」

ただ、今シーズンは選手の半数が入れ替わった事や、指揮を執るヘッドコーチが新加入という事も影響し、「まだ思うように連携が取れていないのではないか」とも分析しています。

【勝てない理由その2】リバウンド

小林さん「バスケットボールは、『リバウンドを制する者は試合を制する』と言われる」

しかし、今シーズンのヴォルターズの1試合平均のリバウンド獲得数は、B2の14チームで、最下位です。

小林さん「(勝つチームは)いきなり、『おお!シュート打った』というシュートがあまりない。今のヴォルターズはそういうのが多い。『そこで打つの?』みたいな。だからリバウンドにも入れない。なぜかというと、共通の認識を持ったショットが少ないから」

この2つの課題を、ヴォルターズは残り39試合でどう解決していくのか。B1昇格を目指すチーム、選手、ブースターにとっても踏ん張りどころです。

小林さん「負けているので色々な思いがあるとは思いますけれど、一番の選手にとっての力はブースターの声。これしかないと思っているので、声を出し続けてもらったらいいなと思います」

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