昨年度、初めて3割を超え過去最高となった、男性の育児休業の取得率。一方で、女性に比べるとまだ低く取得期間でみても男女で大きな差があります。そんななか県内には「男性の育児休業を義務化」した企業があります。

手慣れた様子で赤ちゃんにミルクを与えるのは、那覇市に住む翁長良樹さん。

▽育休取得中の翁長良樹さん
「よくあげています。3時間に1回は」

今年10月に長女の穂果ちゃんが産まれた翁長さん。育児休業を取得しました。

「何が欲しいのかとか、何をしていいのか、それがなかなか分からない。ミルクをあげてオムツ替えて、抱っこもしているけどずっと泣いちゃうみたいな。どうしたらいいんだろうと、大変」

沖縄の男性の「家事・育児力」は全国トップ

男性の家事・育児力を都道府県別にランキングした「男性育休白書2024」で沖縄県は3年ぶりに首位となった “優秀県”。

積極的に育児に参加する男性が増える一方、父親の育児参加を後押しする専門家は「まだまだ課題も多い」と話します。

▽ファザーリングジャパン沖縄支部 玉那覇敦也 代表
「取得率にこだわってしまうから男性自身が何のために休んでいるのかわかっていなくて、“取るだけ育休” や、「もう1人の長男」状態になってしまう。男性自身が何のために育児休業をとるのかをしっかり事前研修などをやってからじゃないと意味がないのかな」

「フォローする側への配慮も必要」

ファザーリングジャパン沖縄支部 玉那覇敦也 代表

「フェアな働き方を管理職や経営者は考えていただけたら。特定の人たちだけが優遇されるのではなく、しわ寄せを受けた人が休めるような、休みやすさを作れる職場作りが必要」


県内でも男性の育児休業取得を後押しする動きが進んでいます。おきなわフィナンシャルグループでは2年前に男性の育児休業の取得を義務化しました。

▽人事部 新城知輝さん
「女性活躍の手助けにもなるのかなと。復帰した後のキャリア形成を目指す職員も多いので、我々の育児に対する意識が変わると、女性の方々もキャリアを目指しやすいかな、ということで義務化した」

以前は男性の育児休業取得率は14%と低く、銀行が行った職員向けのアンケートでは「育休を取りやすい雰囲気がない」という声が多く挙がったという沖縄銀行。

そこで踏み切ったのが、1か月間の男性の育児休業の義務化。義務となったことで周囲のフォロー体制もスムーズに進みました。人事担当の新城知輝さんも育児休業を取得した一人。

▽人事部 宮城桂 上席調査役
「義務化で日程が確定するものですから、事前に新城からも引き継ぎをもらって、応援態勢を全員でとることができた」

▽人事部 仲原佳史 部長代理
「育休を “積極的に取りなさい” は多分難しいんだろうなと。義務化で意識がガラッと変わった」

育児休業中は「有給」。収入面の不安なく、安心して育児に専念できます。義務化するだけではなく収入も保障することで抵抗感をなくしたと、山城正保社長は経緯を明かしました。

この制度を利用して育児休業を取得した翁長良樹さん。育休をとったからこそ見えたことも多かったといいます。

▽育休取得中の翁長良樹さん
「僕が仕事に行っているとき、奥さんはこの不安と向き合い続けないといけないんだと、すごくこれって大変なことだなと、育休を取って知りました」

翁長良樹さん(右)と妻の亜由美さん



▽妻・亜由美さん
「一緒に考えてもらえる人が近くにいる、初めてのことになるのでわからないことも多いし、二人いるという安心感がすごく大きい」

男性の育児参加を後押しし、性別に関係なく子育てに関われる環境をつくる、男性の育休取得「義務化」は、SDGsの目標につながっています。

▽おきなわフィナンシャルグループ 山城正保社長
「まだまだやるべきことはたくさんあると思っている」

男女が平等に家事や育児を担う、社会の実現に向けてより良い環境整備が求められています。(取材 仲田紀久子)

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