目の不自由な人でも触って楽しむことができる絵本「布絵本」の作家が静岡県内にいます。いま、本を読むという行為にもバリアフリーの考え方が広まっています。

静岡県島田市に住む布絵本作家、山本敬子さんです。9年前の2015年から布絵本を作り始め、その数は120を超えます。

<山本敬子さん>
Q.こちらは何を題材に作られているんでしょうか?
「子どもたちがよく歌う『大きなくりの木の下で』という歌です。昔から歌われている童謡は今の子どもたちが知らないものですから、子どもたちがよく口ずさむ歌を作ることが多いです」

童謡「大きな栗の木の下で」の歌詞に合わせて、布絵本には男の子と女の子の人形、大きな栗の木と栗の実、そして、山本さんオリジナルの小さな栗の木も登場します。

<山本敬子さん>
「ポトン、ポトン、ポトン。栗が枝から落ちてきました。で、子どもたちも移動します」

絵本の中で人形を動かすことができる布絵本。普通の絵本とは違い、触って楽しむことができます。ピアノ教室を開く傍ら、子どものために趣味の手芸で人形などを作っていた山本さん。布絵本との出会いは10年前、孫が生まれた時のことでした。

<山本敬子さん>
「静岡福祉大学の布絵本を見て、今度は孫と一緒に遊んでみようかなというのがきっかけです。いつも(孫に)言います『あなたのおかげよ』って」

布絵本は「バリアフリー絵本」ともいわれ、誰もが楽しめるように工夫されています。

焼津市にある静岡福祉大学の附属図書館。バリアフリー絵本の所蔵は国内でも最大規模です。

<静岡福祉大学附属図書館 進藤令子図書課長>
「布絵本以外に点字付きの触る絵本を紹介します。ここに墨字と点字で文字が書かれています。まずこの動物を触ってみてください」

<河田太一平記者>
「シマウマの模様に沿って浮き出るような印刷になっているんですね」

<静岡福祉大学附属図書館 進藤令子図書課長>
「誰でもわかるように特別な隆起印刷をした絵本です」

子ども向けの絵本だけでなく「モナリザ」など有名な絵画を触って感じることのできる大人向けのバリアフリー絵本もあります。館内には点字付き絵本をはじめ、絵本を音声で読みあげる「マルチメディアDAISY(デイジー)」といった絵本やデータなど、合わせて約1000冊のバリアフリー文庫があります。

<静岡福祉大学附属図書館 進藤令子図書課長>
「子どもの時の絵本や読書の習慣というのは、大変重要な環境になりますので、いろいろな障がいを持たれていても年齢を問わず読書の楽しみを知っていただきたいです」

山本さんは全ての子どもたちに布絵本を楽しんでもらいたいという思いで、これからも制作に励みます。

<布絵本作家 山本敬子さん>
「本当にいいのかな。まだまだ(工夫が)足りないところがあるんじゃないかなっていうのは思いますね。とにかく楽しんでもらいたい、作ったものを。眺めているだけじゃなくて、触って『あ、面白い』と思ってもらえたら最高」

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。