銀行のウェブサイトと酷似する偽サイトに誘導し、金をだまし取られる詐欺の被害が拡大しています。23日夕方から広島銀行を騙るショートメッセージをきっかけに、口座から現金が引き出される被害が相次ぎ、被害は少なくとも4000万円以上に上っています。

「根気強く銀行に電話すればよかった」。そう語る女性(60代)のもとに、広島銀行を騙るショートメッセージが届いたのは、23日。土曜日の夕方でした。

スマートフォンの画面には、「あなたの口座が一時停止します。凍結されています」の文字が浮かびました。

被害女性
「心あたりがあったんです。広島銀行とやりとりがあって、書留を受け取るはずが受け取れなくて、放置していたんです。『だからかな』と思って」

信用してURLをタップすると、契約者番号や口座番号、ログインパスワードなどを入力する画面に切り替わりました。リンク先には、「広島銀行」の文字もあり、何よりそのサイトは本物と酷似していました。

わずか半日で4回、口座に不正アクセスされ…

本物とそっくりなサイトに、心あたり。女性は、契約者番号や口座番号、ログインパスワードを入力し、”ログイン”ボタンを押しました。しかし、「終わるまでその画面のまま待ってください」と文字が出るだけで、いつまでたっても画面は切り替わりませんでした。

被害女性
「96%くらいでなかなか進まなくなって、暗証番号も入れたしおかしいなと思ってATMに走ったんです。それで、残高を見たら普通預金がもうマイナスになっていて、『あ、抜かれた』とそのとき気付きました。あわてて暗証番号をその場で変えました」

取引を確認すると、約67万円が引き出されていました。10分足らずの出来事だったといいます。

その後、広島銀行に電話をかけましたが、混み合っていてつながらず。「暗証番号を変えたから大丈夫」と、その日は電話をかけるのをやめました。

しかし翌日…。合わせて4回不正に口座にアクセスされ、引き出されたお金は600万円にも上りました。

拡大する被害 新たな手口も確認され…

偽のショートメール

広島銀行によりますと、27日午後8時の時点で被害額は少なくとも4000万円以上に拡大しています。また、ショートメールだけではなく、「お取引確認の必要がございます」といった偽の電子メールも、送信され続けていることが新たにわかりました。

記載されているリンクを開くと、広島銀行のネットバンキングを装った、本物そっくりの偽のサイトが現れるといいます。

ショートメッセージの手口と同様、契約者番号や口座番号、パスワードなどを入力して送信させることで、口座の情報を入手し、貯金などを引き出すことが目的だとみられています。

広島銀行は、「当行からのショートメールや電子メールを通して、インターネットバンキングの入力画面を案内することはありません」と注意を呼びかけています。

金融機関だけではない 警察が呼びかける“注意点”は

警察によりますと、金融機関を騙る詐欺以外にも、同様の手口は被害があるといいます。

例えば、宅配便のメールを装い「不在通知」「配達状況の確認」などの内容でURLをクリックさせ、個人情報を入力させる手口などです。

実際本物のサイトと比較すると、かなり精巧に作られているといい、一度、偽サイトに入ってしまうと、気付くことが難しくなるといいます。

警察は、こうしたフィッシング詐欺の被害に遭わないために
▽送られてくる携帯電話のショートメッセージに貼られたURLを安易にタップしない
▽ネットバンキングなどにアクセスする際は、正規のページから立ち上げてログインの画面を開く
といった対策を訴えています。

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