世界の食糧危機への対策として注目を集める昆虫食。
2013年に国際連合食糧農業機関(FAO)が公表した報告書でも、昆虫食の活用が推奨されました。栄養価が高く、環境への負荷も少ないとされる昆虫食ですが、抵抗感を持つ人も多い食材です。今回は、TBSのSDGs大使である日比麻音子アナウンサーが、以前から関心を持っていたという昆虫食に挑戦!昆虫食を楽しむためのルールについても伺いました。
昆虫食に挑戦!タガメは青リンゴ味!?
日比麻音子(以下、日比):今回のゲストは、自然や生き物と触れ合う教育プログラムや自然を知ってより身近に感じるイベントの主催などをされている株式会社ビオトープギルド代表取締役三森典彰さんです。前回、三森さんにTBS放送センターの南玄関周辺の自然をご案内いただきました。
三森典彰(以下、三森):まず五感から身近な自然に触れましょうと言っていたのに、味覚は出し切れなかったので、今回はいよいよということで。
日比:今回は大変心強い助っ人にも来ていただいてるんですよね。
三森:そうなんです。株式会社TAKEOから「虫ソムリエ」の佐伯真二郎さんをお招きしております。宜しくお願いします!
佐伯真二郎(以下、佐伯):よろしくお願いいたします!
日比:今回は初級、中級、上級とレベル別に紹介していただくということですね。
佐伯:初めての方から、より深くディープにいきたい方にも昆虫食を揃えてきましたのでよろしくお願いします。
日比:素晴らしい!何だか聞いてるとお酒系にも合うとか...。私の新しい酒のつまみ開発も同時にお願いできたらなんて思っております!早速始めましょうか。初級からでございます。
三森:前回のビオトープ散策の時に「初級編はこれだろう」と言っていたタガメサイダーです。
日比:出ました!タガメってあのタガメですよね?
三森・佐伯:そうです!
佐伯:弊社で一番売れている商品になります。タイ産の養殖タガメを使いましてオスから出るフェロモンの香りが青リンゴの香りをしていて...
日比:(タガメサイダーの香りを嗅いで)青リンゴだ!青リンゴでもありシソっぽい爽やかないい香りがします。
三森:ただ青リンゴサワーにタガメのエキスを入れて「美味しいでしょ」っていうのだと面白くないので、カメムシとか昆虫食の風味のおいしいバランスを探って作られたそうです。
日比:タガメって体によかったりするんですか?
佐伯:分かりません!体にいいかどうかは本当にこれからって感じですね。研究がこれまでされてこなかったっていうのが昆虫食の今の状況で、ようやく他の食材と同じくらいに大学の先生たちも研究をし始めたところです。
三森:日本にもタガメはいますけど、絶滅危惧種なんですよね。僕らも保全活動に関わらせていただいてるんですけども、TAKEOさんはこのタガメサイダーの売り上げで保全に関わる研究などの支援もされているんです。おいしくて保全活動に参加できるというのは飲むSDGsじゃないですか。
佐伯:タガメ基金という形で長崎大学の大庭伸也准教授というタガメの研究の第一人者がいらっしゃるんですけども、その先生に売上の一部を寄付させていただくっていうのを毎年やっています。
ラオスで誕生!お酒にピッタリの蚕ソーセージジャーキーの味とは?
日比:次は中級いってみましょうか!
佐伯:次はクセを感じていただこうかなと思い…。蚕ソーセージのジャーキーをお持ちしました。
日比:出ました!
佐伯:蚕ソーセージというものを商品化しておりまして、それを干して炙ったものになります。これまでは「絹にする」ことが養蚕農家の使命だったと思うのですが、「色々な使われ方があってもいいんじゃないか」ということで、アシザワ養蚕さんにお声がけいただき商品化しました。
三森:ごぼうとか芋系のスライスをフライにしたもののような…
日比:ですね!本当に薄めのサツマイモスティックみたいな感じ!
佐伯:つぶが入っていると思いますが、これが蚕のサナギの皮ですね。
日比:香りは魚介系ですね。
佐伯:ベースは魚肉ソーセージを使っていて、その中にチーズと蚕を混ぜている感じになります。
日比:なるほど!練りこんであるわけですね!
日比、三森:いただきます!
三森:これおつまみにありそうじゃないですか?チータラみたいな!
日比:確かにチータラだ!噛めば噛むほど数の子みたいなこってりした魚卵感が出てきますね。臭みがなく、より濃厚なチーズって感じがします。ビールが飲みたくなります!おつまみにいい!
佐伯:以前、ラオスでNGOの活動をしていたのですが、その時に「蚕ソーセージ」をお土産で持っていったら、「あんまり美味しくないけど、焼いたら美味しくなりそう」とラオス人に言われて実際に焼いてみたら、本当に「焦がされて香ばしくなっておいしいね」となり、ジャーキーが誕生したんです。
辛口の日本酒に合うコオロギの味とは?
佐伯:次はシンプルなコオロギです!こちらは京都の生産者さんが生産したもので、本来、野菜だけだとうまくコオロギは成長しないのですが、出荷する直前にだけ京野菜を食べさせることで風味があがるということを発見し、その製法で作られたコオロギになります。
日比:コオロギです!目もあって口もあって、顔もよく表情が見えますね。前足はキュッとまとまっています。
日比、三森:ではいただきましょうかね。コオロギさん、いただきます!
日比:おいしい!桜エビや甘エビのフリットみたいな感じ。エビだ!
三森:肝感というか…コクのある部分もあるのでこれがお酒に合うのでしょうね。
日比:これは辛口の日本酒。冷でお願いします!日本酒飲みたいですね。
佐伯:これはお酒に合うと思います。タイとかラオスの飲み会の時にコオロギとかオケラがお皿に載るんですけど、他のごはんがあるのにあっと言う間にビールと一緒になくなってしまうんです。
日比:昆虫ならではなのか、食べ終わった後の臭みがスッとナチュラルに消えていくので胃もたれしなさそう。
佐伯:サクッと食べられるのと、煮干製法なのでガリっとした食感が特徴です。
日比:これは1袋おいくらなんですか?
佐伯:580円です。
日比:昆虫食ってすごく高級なイメージがあったんですけど、それくらいで手に入るんですね。
佐伯:グラム当たりすると結構お値段しちゃうんですけど。初めての方はとりあえず食べてみたりとか、食べ残すと罪悪感があって、自分でチャレンジしたのにそれを残しちゃったり捨てちゃったりするとすごく後悔することがあるので、ミニサイズができてきました。
470種類の昆虫を試食!将来は図鑑に味の項目が追加に!?
日比:佐伯さんが昆虫食に携わろうと思ったきっかけはなんですか?
佐伯:2008年に昆虫食の研究を趣味でスタートしました。その時は大学院生で研究室に所属していて、その時に研究していたのがショウジョウバエというハエの仲間で、試験管に入れた状態で餌をつぎかえながら大量に世話をするという係をやってました。その時に栄養も豊富だし、「食べられるんじゃないかな」っていう発想と、「いやいやこんなの食べたくないよ」っていう発想が頭の中でぶつかったんですよ。
確かめるには食べてみるしかないということで、その時に内山昭一さんという昆虫食の有名な方が出してる「楽しい昆虫料理」という本を買って食べ始めたという感じです。
日比:いわゆる昆虫食っていうものが整う前に、ご自身の興味と好奇心で召し上がってみたという感じだったということですね。
佐伯:とりあえず調べて、毒があるかどうか論文を検索して、いけるかな?っていう感じで味見をしてダメだと思ったら飲み込まず吐き出すっていう感じですね。今のところ470種類を茹でて味見して記録をするというのをやっています。
佐伯:ゆくゆくは昆虫図鑑に味の項目が入ったらいいな、なんて考えています。
日比:すごいな。ますます紹介して頂いているものの説得力を強く感じました。
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