建築や土木について学ぶ学生が、設計や施工、運営まで行う「建築学生カフェ」が26日、仙台駅東口にオープンしました。建設業界を志す若者の交流拠点にもなるこのカフェは建設業界の人材確保につながることが期待されています。カフェのオープンまでを取材しました。
「建築学生カフェ」とは
仙台市宮城野区元寺小路にあるビルの1階にオープンした「TONKAN(とんかん)仙台」。
このカフェは、建築や土木について学ぶ大学生らが運営するその名も「建築学生カフェ」です。店内には、経済的に困窮する学生を支援するためA1サイズの用紙を10円で印刷できたり、大学の課題で必要となる模型材料を安く販売したりするブースも設置されています。
そして、このカフェ、設計や施工を担当したのも学生自身なのです。10月16日、建築を学ぶ県内の大学生8人がカフェの施工に励んでいました。
TONKAN仙台 佐々木葵菜代表:
「自分が使いたいと思った場所を自分で作れる、めったにない機会だと思ったので参加した」
カフェのコンセプトは「秘密基地」
「TONKAN仙台」の代表を務める宮城大学の佐々木葵菜さんです。
カフェの設計や内装は佐々木さんが考えました。こちらは完成予想図。カフェのコンセプトは「秘密基地」です。
TONKAN仙台 佐々木葵菜代表:
「大学と家以外の自分の居場所にしてほしいという思いを込めて、秘密基地と設定した」
オープンまでの試行錯誤の日々…
この日の作業は、店内で使う椅子の制作。木の板の寸法を測りノコギリで切断していきます。しかし、作業のさなかトラブルも…。
学生:
「高さを合わせたくて。さっきちょっとずれてしまったのを調整したいと思っていた」
椅子の脚に使う木の板の高さが合わず作り直すことになりました。
学生:
「こんな感じで高さを調整してちゃんと脚をくっつける」
どうすればより良くなるか…。自分たちで考え、決めていくのもこのカフェの醍醐味です。脚の補強も行い椅子が完成しました。座り心地は…。
学生:
「大成功!高さもちょうどよい。作業しやすそう」
深刻、建設業界の若手人材不足
学生たちを後押しするのは建築・土木学生の就職を支援する東京のキャリア・ナビゲーションです。「TONKAN」は建設業界を志す若い世代の交流スペースをつくろうと、2021年に企画されたもので、東京や大阪などに次いで仙台が5店舗目となります。
キャリア・ナビゲーション 長嶋哲夫社長:
「自分たちが学校で学んだことを活かして、まずは体験できる場というのが第一につくったきっかけ。学生の経済面や場所の提供ということで役立てているのではないか」
建設業界は、時間外労働の規制強化に伴う「2024年問題」に直面するなど、人手不足が課題となっています。日本建設業連合会によりますと建設業の就業者数は、最も多かった1997年の685万人から去年には483万人とおよそ3割減少しました。
また、就業者数に占める29歳以下の割合12%に対して、55歳以上は36%と高齢化も進んでいます。
キャリア・ナビゲーションの長嶋社長は、いわゆる「3K」など、建設業界に対する負のイメージも、若者の就業者数の減少に影響しているのではと話しています。
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